一人の作家のプロット案を覗いていくうちに恐怖に取り込まれるホラー作品。
断片的なプロット案を見て、最初は笑って楽しんでいましたが、情報がつながっていくうちに好奇心が止められなくなっていきます。
また、もう一つの魅力は、怪異に関する情報断片の隙間にある作家の苛立ちや焦り、見栄の人間的部分の細やか描写です。主人公である作家に感情移入してしまい、だんだん読者である自分と彼と重なる感覚に陥り、彼の記憶と恐怖を追体験していくことになります。
日常から逸出したと自覚しても止められない。恐怖が目の前に迫った時には、既にどうすることもできない。終盤になって加速していく恐怖が魅力的なホラー作品でした。
ひたすら陸上の練習をして短距離走が速いやつがいる。ひたすら彫刻を練習して仏像を彫るのがうまいやつがいる。ひたすら面白い小説を執筆して傑作を量産する作家がいる。
才能に溢れた天才だ。いや努力の天才だ。努力できる事自体が才能なのだ。好きだから努力ができる。本人は努力してるとも思っていない。
何か素晴らしい才能を持った人はこんな風に言われることが多い。好きこそものの上手なれ。
それは本当だろうか?
本人が望んでないとしたらどうだろうか。
色々な情報の断片が組み合わさり、徐々に浮かび上がる「顔」の怪異。終盤で全てが繋がりカタルシスを感じます。
モキュメンタリー作品が好きな方には特にオススメです!