得体の知れない怪異の仕訳

妖怪が、とにかく好きで。
…というのも妙な物言いだが、とかく昔の
人々は《得体の知れない事象》に対して
何某かの『理由』を付けた。それを視覚化
しつつ事象に纏わる性質を固定したものが『妖怪』だと理解している。
この作品は、そこに逆説的に斬り込んだ
余りにも魅力的な短編集である。

我々が日常、生活している中で生じた
《得体の知れない事象》は、もしかすると
あの妖怪の仕業では…?そんな視点で
読み進めるが、読み方はきっと人其々に
あるのかも知れない。
実は、この作品を読んだ後に製本された
『夜行奇談』を買った。本には物語ごとに
画図がついている。
だが、51話とコンパクトに纏まっていて、
カクヨムにある、あの『最も怖い話』は
ない。一方でカクヨムには例の『最も怖い
話』を含めた二百三話が載るが、画図は
ない…。ベストなのは両方手元にある事だ
が、兎に角まずは読む事をお勧めしたい。

 まさに今、我々が生きているこの世の
中にも、妖怪は棲んでいる。
それが恐ろしい怪異譚として陳列されて
いるのだ。

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