武田義信。
史実において、かの名将武田信玄の嫡男でありながら父との対立を深め、最終的に自害に追い込まれた悲劇の将。
この物語はその義信が弱体化した今川攻めに志願（！）するところから始まるのですが……なんかこの義信様子がおかしいぞ？？？

転生知識で歴史を改変系ではなく、史実義信がこういう人物だったら？　という前提で描かれたIF歴史ストーリーとなっています。
目的のために手段を選ばなさ過ぎるが故に、次々訪れる問題やトラブルへの対処が毎回斜め上になってしまう。そんな義信の行動一つ一つが意外性と爽快感を兼ね備えていて読んでいてとても楽しいです。
やっぱり略奪した米は一味違うぜ……！

それでいて義理や情を解していない訳では無いのもまた魅力的で、今川家への処遇や父とのやり取りなどグッとくる描写で胸を熱くさせられるのもしばしば。
例えるなら不良が雨の中捨て猫を拾っているようなところを偶然見てしまったような感じでしょうか。どうかな……。

テンポよく進み、あっという間に最終話まで辿り着いてしまうこと必至なこの作品。
気軽に歴史作品を読んでみたい気分の方はぜひご一読を。

完走おめでとうございます&お疲れ様です。

歴史系というと堅苦しくなったりしますけど、本作はそういうのが無くて良いですね。
気楽にサクっと読めるのが凄く良かったです。ありがとうございました。