概要
魔女は造られた王の英雄譚に魅せられ、それを欲した。
それは傲慢で悲壮に満ちた願いだった。
世界の王と呼ばれ造られた英雄は、その名を欲さなかった。
それは傲慢で悲壮に満ちた願いだった。
魔女と王が望んだものは栄光でも名誉でも平和でもなく。
一握りの愛情と平穏の日々。
ただそれだけであった。
世界を変える力を持ち。
万物を造る権能を掲げることさえできるのにだ。
それは傲慢で悲壮に満ちている。
そう人々は云うと魔女と王が、すべからく人であることを忘れ
何もかもを歪めていった。
そして世界は、とある結末を迎える。
理の円環を破り、螺旋を描く魔女と王の物語へと。
※この小説はフィクションです。実在の人物や団体、技術などとは関係ありません。
※本作は、残酷描
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!円環の果てにあるささやかな願い
物語の扉を開くと、まずその世界の広大さと複雑さに圧倒されるかもしれません。
舞台は、AIや仮想現実技術が日常に溶け込んだ近未来の現実世界と、剣と魔法、そして神話の住人たちが息づくファンタジー世界。
これら二つの世界は、互いの運命に深く干渉し合います。
詩的な言葉で紡がれる創世の神話から幕を開けるこの物語は、読者を壮大な叙事詩の世界へと誘います。
物語の中心にいるのは、世界を創造し、変えるほどの力を持つ英雄や魔女たち。
ですが、彼らが本当に求めているのは、世界の平和や栄光といった大きなものではありません。
「一握りの愛情と平穏の日々」という、あまりにも人間らしく、ささやかな願いです。
この…続きを読む - ★★★ Excellent!!!剣戟と格闘 魔導と魔術 情報と量子 全てが溶け合い揺蕩う土地リードラン
圧倒的な情報量。
複雑に絡み合ったプロットと伏線。
一度読んだだけでは 処理しきれるモノじゃないとある程度諦めて読み進める。
そして 一度ストーリーを追ってから もう一度戻って反芻し その緻密な構成と世界の真実に震える。
そんな読み方をお奨めしたいと思うのです。
もちろん流麗な文章と火花の散るような剣戟と格闘。
おぞましい亡者共が蠢く荒野を征く〈宵闇の鴉〉アッシュ・グラントを廻る英雄譚としても出色の出来なのです。
リードランを生きる赤髪の姫君 〈色欲〉の吸血鬼 防衛隊の隊長 酒場の親爺 貧民街の少年少女 名も無き市井の人々に至るまで 血肉のある存在として 時に気高く 時に美しく 或いは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異世界ファンタジーの枠に嵌りきらない圧巻の物語
世界の其処此処で英雄譚として謳われるアッシュ・グランド。
主人公がそんな英雄だと聞けば、どんな壮大な物語が始まるのかと思うでしょう。
しかし、この物語はただの英雄物語の異世界ファンタジーではありません。
タグに書かれてある「近未来」。
これがこの物語の鍵であり、物語の世界観に厚みを増し、深い謎と絡み合う人々の価値観や生き方を味わい深いものにしています。
ダークファンタジーとしてシンプルに楽しめる反面、今自分達が生きている現実社会が、今後どの様に変わっていくのかという期待や恐れも交じり、これはファンタジーなのか、それとも近未来ドラマなのか…、気付けばこの物語に没入してあれこれ考察する自分に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!没入させてくれる魅せる大人のダークファンタジーここにあり!
最新話まで拝読してのレビューです。
本作はまさに魅せるダークファンタジーです。
物語はしっかりとした土台の上で構築され、硬質で研ぎ澄まされた文章で紡ぎ出されていきます。
今風の要素がないため、読み手を選んでしまうかもしれませんが、少なくとも物語に没入したい方にはまさに打ってつけの作品です。
1話当たりのボリュームもたっぷりあり、読み応えを与えてくれます。
ながら読みや隙間時間に、といった読み方には向いていません。
じっくり腰を据えて堪能したい作品でもあります。
描写は繊細かつ丁寧でありながら、本当に情け容赦なし、という表現が最適です。
狂おしいばかりの残忍さ、悲哀に満ちた世界をたっぷ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本格、重厚、ダークファンタジー!
はじめの「セントバ大図書館[設定編]」は、本当に設定だけで、恐るべきボリュームと情報量を誇ります。
読んでて、「あっ、覚えきれんやつ……!」となった馬鹿がここにいます。
世界観がきめ細かく重層的に作り込んで……つまり、いくつかの国と、いくつかの神話と、魔法のいくつかの流派(成り立ち含む)です。
こういうのが好きな方は「くっはー! 燃えるぜ!」となると思います。
まあ、覚えきれなくても、なんとかなります。
でも、一読しておくことをオススメします。
次の「Kissing a fool (before the epiloge)」は、物語のクライマックス、最後のちょっと手前が切り取ら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!導入が・・・
とてもおもしろいです。
物語の道筋を綿密に決めた上で執筆されているのではないか、と思わせてくれます。
中心人物を切り取った写真を見ているように周りの情報が提示され、またキャラも上手く利用してボカしているので、興味を失うことなく読み進めることができます。
また、行間の取り方が読み手にとても配慮されており、繊細な文章とあわせて断片的な物語が取りこぼすことなく頭に滑り込んでくる感覚がとても気持ちよいです。
ダークファンタジーとして世界観が確立されており、しっかり伝わってくる分、惨劇が描かれる場面も緊迫感や悲壮感もより深く味わえるので心しておくことをお勧めします!
世界観に没頭するため、かなり…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「救いがない世界」に「わずかな救い」を求めるダークファンタジーの決定版
えっと「真・女神転生」が好きな人は、こういうの好きだと思います。ストーリーというか、雰囲気が「ちょっと」だけ「真・女神転生2」に似ていますので
ただ内容は残念ながら「シビア」なダークファンタジー。主人公とヒロインの恋愛だけが「唯一の救い」と思える物語は久しぶりに読みました。でも、私はこういうの方が好みかなぁ。「救いがない世界」に「わずかな救い」を求めて頑張る小説って、私はかなり好きなので・・・
最後に「注意」事項。この作者は描写力がとてつもなくうまいのに「容赦」なく「残酷なシーン」をねじ込んできます。なので「ホラー」とか読めない人は、ちょっと無理かもしれないですね。気をつけてくださ…続きを読む