Killing Me Softly With His Song

コネ

0_Kissing a fool

重唱



 

 上にある天は名づけられておらず、

 下にある地にもまた名がなかった時のこと。

 はじめにアプスーがあり、すべてが生まれ出た。

 混沌を表すティアマトもまた、すべてを生み出す母であった。

 水はたがいに混ざり合っており、

 野は形がなく、湿った場所も見られなかった。

 神々の中で、生まれているものは誰もいなかった。


 ——エヌマ・エリシュ 一番目のタブレットより。





 ※





 東洋の魔女といえば百年前に実在をした日本のスポーツチームの愛称だ。

 魔女っ子とは特殊な能力を持った少女が大人に変身をし難事件を解決する。

 これは何も日本での話だ。


 アメリカにもこの類の魔女は存在したそうだ。

 特に有名な魔女は口を小刻みに動かし、一切の家事を瞬く間に終わらせる。

 彼女の娘は、それを小鼻を震わせ実行するのだそうだ。


 では遠く離れたイギリスではどうだろう。

 第一次世界大戦が終わりを告げた頃に姿を現したのは、魔女ではなく魔男まおとこ。つまり男の魔法使いだ。彼は白髪の老人であったが、若者を引き連れ先陣を切り業火の悪鬼と闘ったのだそうだ。右に魔法の剣を携え、左に魔法の杖を握り最後には悪鬼もろとも奈落の底に落ちていってしまうのだが、きっちりと生還する。


 このように魔女、魔男というものは素晴らしい能力を有している。


 しかし、何故だろうか。

 彼らの系類とは六百年前は、そうであるというだけで謂れのない弾劾だんがいに晒され、はりつけにされたのだそうだ。そんな迫害の時期は百年を数えた。


 さて、それでは僕らが魔女と呼ぶ彼女はどうなのだろうか。

 バーナーズは彼女のことを「薄気味悪い魔女だ」とうそぶくと「外見に惑わされれば玉を握り潰されるぞ」や「あいつが吐く言葉は一事が万事、呪詛の類だ」とか、思いつく限りの汚い言葉で罵倒するのだ。


 でも僕の印象はだいぶ違う。


 見た目の話で恐縮だが、彼女の青みがかった銀髪は枯山水かれさんすいが描く水の流れのようで、規則正しく柔らかな線を幾つも束ねながら腰まで流れ落る。それは華奢な身体の線と交わると、そこはかとなく儚げな印象を人に与えるのだ。

 薄氷でできた人形とでもいうのか、触ったら砕けてしまいそうで儚げな感じ。なんだったら声も小さく自分の意見は喉元で呑み込んでしまう。そんな雰囲気と印象だ。


 だがしかし実際の彼女は、ちっともそんなことはなくて、しっかり笑うし怒ったかと思えば、可愛らしい鈴のような声でちゃっかり甘えるな十八歳の少女なのだ。アーモンド型をした双眸の蒼、コロンとした鼻に小振りな唇。まるで仔猫のような愛くるしさで我儘わがままを振り撒き、それでいて澄まし顔をする。


 云うことを聞かなければ「もう知らない」なんて心の声が聞こえてきそうなその態度。大概の男は「わかったわかった」と、かぶりを縦に振ってしまうことだろう(もっとも、その餌食になったのは僕の知る限りでは僕の親友だけなのだが)

 なので、彼女が魔女かどうかという点においては、ある特定の層にはそうなのかも知れないが大仰おおぎょうな呪文を唱え指から炎は出さないし、地面に六芒星を描いて杖を取り出したりもしない。ステッキを振るって変身もしない。


 そういった類の魔女でも、魔女っ子でもないということだ。では何をもってして彼女を魔女と呼ぶのか? それについては、バーナーズの見解と一致する。

 

 とにかく彼女は頭が良い。


 頭が良い。それを通りこしイカれているのかも知れない。ほんの少しの情報で、過去にあったであろう事象を正確に云い当てるし、先の未来の事象を高い精度で云い当てる。

 僕が何歳までオネショをしていたのか?

 バーナーズが五分後に何を云うとか——それこそ魔法のようにだ。


 そして、驚くことなかれ。

 彼女は予測をしたのだ。

 果たして、予測は的中し、今まさにその瀬戸際に立たされている。そんな最中、僕は寝転がり、魔女は僕の腹に馬乗りになる。



※※


 

 私が最後に、目にした彼女は乱れていて必死で無様で——そして美しかった。

 ご自慢の銀髪は煤に汚れて削り出したばかりのコバルトのように薄暗かった。額にべったりと重々しく張り付いていたわ。

 純白の素敵なワンピースは、元は可愛いデザインだったはずなのにビリビリに破けていたし、彼の返り血が裾のあたりからお腹までべったりとしていたの。あれじゃ淑女と呼べないわ。裸足だったし。

 

 でも、それでも美しかった。

 バーナーズは彼女のことをだと云ってはばからず薄汚いとか穢れているとか、なにかそんな風に云っていたわね。

 造り物という部分は同意する。

 でも薄汚いとか穢れているというのはどうだろう。本当の彼女は、なんの変哲もない可愛らしいアメリカ人の女の子。こんな事さえなければ普通に高校へ通って、普通に大学に行って、沢山恋もして。

 

 そして失恋もたまにしちゃう。

 そんな平凡で素晴らしい人生を享受していたはず。でも歪んでしまった。誰のせいかと云えば、そうね、大人のせいね。子供の身では抗えない運命に翻弄され、精一杯の声で鳥籠の中から救いを求めた。

 でも、それは叶わなかった。だから、救いの声が届くよう彼女にできる精一杯は、鳥籠の中で美しく歪んだ唄を囀る事だったのよね。生きたい。彼と一緒に居たいって。

 ほら。やっぱり美しいじゃないの。頼まれてもいない願い。頼まれてもいない未来。そんなものの為に必死に銃口を掲げている私なんかよりも数億倍美しいわよ。





 魔女は僕にこう云ったのだ「あなたの世界に私を連れ去って」と。


 僕が死んでしまう前にそう願えば、それだけで良いからと。そうすれば僕も魔女も、呪いの円環から抜け出し二人で幸せに生きていけるのだと必死に訴えていた。

 彼女が口にするその詳細とは、僕が思い描く理想郷へ「世界を書き換えてくれ」という話なのだ。何をどう考えればそんな発想ができるのか分からない。


 でも。


 僕の上司——雇い主だった彼女の父親は第三次世界大戦終戦の年、世界の円卓フラクタルに参加すると「質量のあるものは、皆等しく分解し再構成できる」と証明をしてみせた人物だ。

 その人の娘というのだから、常人でいう頭のネジが一本や二本抜けて人間の限界を突破しているのかも知れない。だからと云って世界を書き換えるなんて話は到底、鵜呑みにはできないが。

 ただ、その父親というのがとんだ食わせ者なのだ。

 彼女が魔女である由縁とは、彼の常軌を逸した愛情に穢されたことが起因する。だから——彼女の訴え、想い描く世界に逃げ込みたいという衝動もわかる。

 なんといっても僕も自分の世界に逃げ込んだ口だからよく分かる。それができなかった彼女の苦しみだってそうだ。だから彼女が彼女の事を連れ去って欲しいと云う気持ちはよくわかる。



※※



 は私のことを泥棒猫って呼んでいたっけ。


 可愛らしい猫のような容姿に飄々ひょうひょうとした感じが、黙っていればエレガントなのに、私をののしる言葉が毎度、板に付かないから滑稽に見えてしまう。


 変に背伸びしたような——何かそんな風ね。

 頭が良すぎると、こうなのかしら?


 そんな彼女は結局、最後は彼に拒絶され、絶望して彼に首を差し出して逝ってしまったの。本当は私は、それを全力で止めるべきだった。それがきっかけで世界は随分と変わってしまったし、彼女の父親に認められなかった人間は狩場で狩られる動物と同じ扱いを受けるようになったのだから。


 後悔——


 そんなものをしている訳ではないのだけれども、彼の望みだったから私は今ここに立って彼に銃を向けている——それが、だったから。


 そう、のね。

 今はきっと、そうではないのだろうけれども、魔女に馬乗りされた無様な彼の命を奪うため、ここへ立っている。それが彼の望み。ごめんなさいね、

 でも本当に私にそんなことができるのかどうかは別問題。叶わないとわかっていても彼への想いは変わらない。流石に我ながら馬鹿だなってわかっている。だっていくら頑張ったって私の想いは彼に届かないのに、何を必死になっているのかしらって。

 なんだったら面と向かって「僕には好きな人がいるんだ」とか、訊いてもないことを恍惚と語られちゃったりもしてね。あまりにも腹が立って引っ叩いてやろうかと思ったけれど、「ふーん、そうなんだ。お幸せに」なんて、よそよそしく答えている自分に嫌気が刺して、やめておいたわ。


 本当に私、何をやっているのかしら。





 あおいさん、きっと怒っているのだろうな。


 どういう訳か痛みは感じないのだけれど、右脚を吹っ飛ばされて、寝転がされて、魔女が馬乗りになって。とんだ無様な格好を晒す羽目になっている。

 それでも、なんだろう、やる気満々な凛々しい顔で銃を向けるだなんて、それはそんなに怒ることなのだろうか。右脚が無くなっている分、僕の方が怒っても良いくらいの筈だけれど。見苦しく少女にしてやられている僕に苛立ちを覚えているのかも知れない——「四十を越えたおっさんが何やってるの」って。


 

※※



 あの人は優しすぎる——いいえ、違うわね。

 

 あの人は、人から拒絶され孤立してしまうことを心の片隅でいつも恐れているの。だから無理難題だろうがなんだろうが、自分ができることは何だってやろうとしたのよね。できないことがあれば、それをできるようにもしてきた。

 

 いろんな事を犠牲にしてね。


 バーナーズが云っていたのだけれど、両親ともそういう関係だったのではないかって。彼の両親は世間的にも、世界的にも天才と呼ばれた人達だったのだけれど、その実、犠牲にしていたものは大きかったわ。

 天才は天才だけれど、常識人の皮を被ったイカれた大人。生活の殆どを仕事に費やして家庭を顧みなかったし、彼に愛情をかける時間さえ惜しんだの。その結果、彼はその両親に同調して同じ色に染まることで関心を得ようとした。それで得られた関心は愛じゃないのにね。

 

 孤立から逃れられるだけ。ただ、それだけ。


 与えられるべき場所に居場所はなくて、人の居場所にそれを求めて、いつもそこから追い出されることに怯え——人の期待に答える。そして裏切られる。凄く窮屈で凄く悲しいわよね、そんな毎日。私だったら発狂しちゃう。

 なんでこんな人に私は惹かれたのだろうって不思議になる程、彼は歪んでいたのだけれど、何だろう、私ってそういう駄目な男を好きになってしまう性格なのかしら。


 自覚がないのだから始末に悪いわ。





 意識が朦朧もうろうとしてきた。


 血を流し過ぎたと片付けるには大量の出血をしているはずなのだけれど、辛うじて意識がある状態だ。全血液の20%を超え出血をすると多臓器不全へ陥り命を落とすと聞いたことがある。意識が朦朧もうろうとするのはその前段階の症状のようだ。

 こんな状況で初めて考えるというには、おかしな内容であるが、僕自身は本当のところ慎ましい人生——数は少なくとも、そこそこお互いを理解できる友人、そして贅沢をいえば恋をして伴侶を得る——そんなものを望んでいたのだ。

 でも、その小さな願いは他人に握り潰されて心の隅っこに投げ捨てられてしまったのだ——そのはずだ。


 君はそんな小さな器に収まるような人ではない。

 私達を、世界を、より良いものに導いてください。

 世界を救ってください。


 もっと色々と云われてきたけれど、そんな言葉の全てに応えなければ、僕は僕の居場所を無くしてしまうのではないかと怯えていたのだ。だから自分の慎ましい願いは心の隅に追いやって蓋をしたのだ。人の為ではなくて自分の為。そう、きっと自分の為。

 でも、それに答えた先で何があるというのだろう。居場所が確保できる? 他人が自分を愛してくれる? どうなんだろう。本当にそれは自分の為なのだろうか。


 バーナーズは、僕の境遇に同情をすると云っていたけれど、それと僕の甘えた考えは別物だと断じていた。あの狼は僕の中に潜んでは僕のプライベートな、それこそ赤裸々な想いに至るまでを漁り見るなんて出歯亀のようなことをしていたくせに偉そうにそんなことを云う。でも、それはそれで、彼の境遇で、仕方のないことだと理解して意見を訊いてみれば、その答えに納得もする。云ってみればあの狼は、客観的に僕を見る僕自身のようなものなのだから。


 答えはこうだった。

 体の良いネグレクトに晒されていた僕は———幼いながらも。疑問を持ちながらも。両親の考えを肯定する振りをし自分の居場所を求めた。それ自体は幼いながらもよく決断をして耐え抜いたと、バーナーズは褒めていたし、その境遇に同情するとも云っていた。


 でも、おかしいと疑問を持ち続け、それが何かにも気付いていたのに目をそらしてきた。つまり自分に嘘をついていたのだ。逃げたのだ。そもそもその疑問を持たないのであれば、それは僕の本質がそうで世間的にどうであれ僕にとってはなのだ。


 しかし、そうではなかった。


 成長し大人になり、表向きは自立した風なのに自分に向き合おうとはしなかった。だから——他人に僕の願いを握り潰されたのではなく——自分で握り潰したのだ。心の弱さ故に手近なものを傷つけ、それを代償だと声を大に叫び、請うべき相手を間違えた許しを求めたのだ。

 そして、それを聞き入れる相手を得ないまま声は虚しく溶けて、消えて、僕はもうこんな世界が嫌だと云ったのだ。


 その結果自分の世界に逃げ込んだ——確かに、そんな人生なら疲れて当然だ。自分でもわかっているのだ。

 知らず知らずに楽な方へ、楽な方へと行っていることを。結局どんな功績を残そうが、天才だと讃えられようが、心に抱えた虚とした暗い想いが晴れない限り僕はこのままなのだ。いつまでも暗がりを怖がる子供のように逃げ惑うのだ。







「ナキト、しっかりしなさい。よくわからないけれど、大切な人を取り戻すのでしょ」


 柔らかいが凛とした声がそう云った。


 国立競技場ほどもある部屋と呼ぶには広すぎるこの真っ白な空間では、通る声でも発せらた途端に地へ吸い込まれてしまう。でも、葵さんの意志の強さ故なのか、朦朧もうろうとしている僕の耳にでも声はしっかりと届き、心の凪に落ちかけていた僕を引っ張りあげた。

 あやふやした視界に真っ白なドーム状の天井。

 それをぐるり囲った怪しげな黒々としたパイプも見える。

 手前のレイヤーに魔女が映る。

 彼女の濡れた青い瞳には、僕の姿が映っていた。

 葵さんの声に引き戻され気が付いてみれば、魔女は僕の胸に両手を添え小さな可愛らしい顔を近づけていた。

 魔女の瞳に映り込んだ僕の姿が何度か揺れながら消えたり映ったりと明滅した。

 魔女が濡れた猫目をパチクリとさせ、改めて僕の顔を覗き込んだのだ。


「ナキト、大丈夫?」


 血が流れ過ぎたのか、魔女の鈴のような声が何度も何度も頭の中で響いたように感じ、気分が悪くなり、その問いに僕は答えることができなかった。それでも魔女は、その沈黙をどう捉えたのか分からないが、優しく微笑み愛おしそうに僕の顔へ手を添え言葉を続けた。


「——大丈夫なら良いの」


 いや、ちっとも大丈夫じゃない。

 全然大丈夫じゃない。


「このままだと本当に死んでしまう。たった一言で良いの。私と一緒に生きたいと云ってくれれば良いの。私も同じ気持ち。愛しているわ」


 ちょっと待って欲しい。

 今年四十二になった男へ、こんなにも迫る十八歳の心境はまったく理解できない。そもそも女性の機微に疎いのは折り紙つきの僕だ。それを理解しろというのは無理があるし、今はそんなことを考えられない。だって、彼女は僕の右脚を吹っ飛ばしたのだから。


「いいわ、あの赤毛の娘のことは水に流してあげる。それにこのまま死んでしまえばあの娘だって仮初かりそめの世界で消えてなくなってしまう。それだって避けられるわ」


 涙に鼻を詰まらせ顔をくしゃくしゃにし、毅然と滔々とうとうと語る魔女の姿はそれだけで痛々しく「もういい、わかったから」と諭して抱きしめてやりたいと思ってしまう。でも、それは駄目だ。魔女が口にした赤毛の娘。それが、ぼんやりとした頭の中で引っかかり流されそうな僕を引き止める。

 彼女を助ける——その言葉が、弱い僕のいかりとなり、流されるのを留めていた。





※※※





「ナキト——ナキト、良い? あなたがどんな選択をしても私は私が成さなければならないことを成すだけ。それはあなた——いいえ、私が私に課した役目。だから、あなたもあなたに課した役目を果たしなさい。惑わされては駄目。それは誰のものでもない、あなたの人生なの。だから——」


 小さく前傾姿勢に銃を構えた葵は脇をキュっと締めジリジリと距離を詰めた。太刀落とされた言葉尻は、次の言葉までの時間を鋭い刃のように研ぎ澄まし、緊迫の間を置き去りにした。だから魔女は、その鋭さに続く言葉が全てを決定的にすると直感した。魔女は、キッと顔をあげて、ナキトに銃を向けたあおいへこう云った。


——なんなの?」


 ショートボブの前髪が緊張の汗でべったりと額に張り付いてしまっていたけれど、葵は意に介さず構えた銃をそのままに更に距離をジリジリと詰める。


 なんなの? ——なんて、くしゃくしゃだけれど綺麗で可愛らしい顔で云われてしまうと、若い子に難癖をつけたおばさんが反撃にあっているようだなと、葵は苦笑いを漏らす。でも——相手は自分達の運命を、人生を、どんな理由があったにせよ、土足で踏み躙って滅茶苦茶にした相手だ。


 こんな小娘一人黙らせられなくて何が淑女よ——そして、葵は銃を握り直し、引き金に指をかけた。


「そうね。だから、ナキト、あなたはあなたの好きにしなさい」


 引き伸ばされた時間の中の出来事のように、葵の指がゆっくりと引き金を引き始める。すると魔女はゆっくりと瞼を閉じた。血の海に横たわったナキトは、瞼を閉じた魔女がゆっくりと小さな顔を近づけるのをぼんやりと眺めた。それは夢の中の出来事のようで、それはまるで実感が伴わない光景であった。


 しかし——ナキトは決断をする。

 ナキトの脳裏に焼きついた、たった一つの大切なもの。

 それは——笑いたければ、笑えばいい——誰かが微笑む眩しい表情。

 それだけは、それだけは護らなければ。


 そう心に誓ったのが合図だったのか。

 ナキトの唇に別の唇の感触が伝わると、瞬く間に視界が暗転したのだった。



 

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