あらすじを拝見した時、一度読み始めたらきっと止まらなくなるだろうと予感しましたが、正しくその通りでした。
警告なのか道標なのかわからない昏い夢と、過酷な状況の中で家族を護り、道を切り開こうとする主人公の現実。選択した道と選択しなかった道が交差する緻密な世界観の中、主人公は葛藤を重ねながら、次々に目の前に現れる、それぞれに辛い重荷を背負った子供たちと共に成長していきます。
メインの登場人物たちだけではなく、脇を固める人々の心理や行動の描写も精緻で丁寧なので、複雑なストーリー展開の中でも「今どこで誰が何をしているのか」を見失うことはありません。子供たちをその境遇に追い込んだ大人たちを後ろから蹴飛ばしたくなる衝動に駆られつつ、それでも懸命に生きる彼らに、どうか幸せにたどり着いて、と応援せずにはいられなくなります。ハイファンタジー文学の重厚さを好まれる方は、ぜひ。
奴隷上がりの少年を主人公とした、本格的かつ壮大な大河ファンタジー作品。
完成度の高さから言って、この評価は完全に「埋もれている」としか言えないレベル。
極めて筆力の高い作者様で、一筋縄では行かない人物と人間関係の描写が非常に巧みです。
確かな情景描写、長所短所を包みこんだ人物の魅力、それぞれの心理描写、伏線の置き方、どれをとっても一級品。
物語の構成も素晴らしく、それぞれの人間模様や成長を描きながらもしっかり興味を持続させる要素を入れてくださり、まさに読むのがやめられない。
まだ最新までは追いついていないのですが、読者へ常に「薄っすらとした恐怖、不安」を与えるように描かれていて、これが強烈に作品を魅力的にしていると思います。
まだまだ終わりは遠そうですが、完結まで無事に続けられますように。一読者として祈るばかりです。
重厚な文体で描かれる、数奇な運命を背負った少年の物語です。
ライトノベルというより、古き良き小説を思い起こさせる作品だと思いました。
世界観も良く練り込まれていて、男心を擽る必殺技のようなものが有ったり女性が好みそうな男女の駆け引きなどもあったりして作品の幅も広い。まだ幼い少年である主人公らの柔らかな内面のリアリティーも素晴らしい。物語が進むごとに、様々なことを経験して大人になっていく心情描写には脱帽です。
なにかと苦難に見舞われる主人公ですが、それでも必死に頑張る姿は読んでいて大変惹き込まれます。
彼にはぜひ幸せになって欲しいと思わせてくれる主人公です。応援しています。