圧倒的な情報量。
複雑に絡み合ったプロットと伏線。
一度読んだだけでは 処理しきれるモノじゃないとある程度諦めて読み進める。
そして 一度ストーリーを追ってから もう一度戻って反芻し その緻密な構成と世界の真実に震える。
そんな読み方をお奨めしたいと思うのです。
もちろん流麗な文章と火花の散るような剣戟と格闘。
おぞましい亡者共が蠢く荒野を征く〈宵闇の鴉〉アッシュ・グラントを廻る英雄譚としても出色の出来なのです。
リードランを生きる赤髪の姫君 〈色欲〉の吸血鬼 防衛隊の隊長 酒場の親爺 貧民街の少年少女 名も無き市井の人々に至るまで 血肉のある存在として 時に気高く 時に美しく 或いは 少し醜くかったり 小狡かったりする 生き生きとした描写 それだけでも水準以上の素晴らしい物語なのです。
でも だからこそ 二度三度と立ち返り読み返して 彼らの〈生〉の意味 〈存在〉の意味を考えていただけたらと思うのです。
それが【アッシュ・グラント】を廻るより壮大な物語を読み解く〈鍵〉となると思うのです。
〈剣と魔法の大地〉リードランの謎を廻る最高にスリリングで知的なエンターテイメント小説。
第一部完結まで あと僅か。
是非 今こそ手にとって頂きたいと切に願います。
世界の其処此処で英雄譚として謳われるアッシュ・グランド。
主人公がそんな英雄だと聞けば、どんな壮大な物語が始まるのかと思うでしょう。
しかし、この物語はただの英雄物語の異世界ファンタジーではありません。
タグに書かれてある「近未来」。
これがこの物語の鍵であり、物語の世界観に厚みを増し、深い謎と絡み合う人々の価値観や生き方を味わい深いものにしています。
ダークファンタジーとしてシンプルに楽しめる反面、今自分達が生きている現実社会が、今後どの様に変わっていくのかという期待や恐れも交じり、これはファンタジーなのか、それとも近未来ドラマなのか…、気付けばこの物語に没入してあれこれ考察する自分に気付くのです。
こんなに唸る物語はそうそう出会えません!
重厚な物語をじっくりと読み解きたい方に、是非オススメする物語です。
最新話まで拝読してのレビューです。
本作はまさに魅せるダークファンタジーです。
物語はしっかりとした土台の上で構築され、硬質で研ぎ澄まされた文章で紡ぎ出されていきます。
今風の要素がないため、読み手を選んでしまうかもしれませんが、少なくとも物語に没入したい方にはまさに打ってつけの作品です。
1話当たりのボリュームもたっぷりあり、読み応えを与えてくれます。
ながら読みや隙間時間に、といった読み方には向いていません。
じっくり腰を据えて堪能したい作品でもあります。
描写は繊細かつ丁寧でありながら、本当に情け容赦なし、という表現が最適です。
狂おしいばかりの残忍さ、悲哀に満ちた世界をたっぷりと表現し、それが目の前で展開されていきます。
本作はアッシュ・グラントとエステルという二人のキャラを中心に回っていきますが、彼ら以外にもかなり多くのキャラが脇を固めています。
メインの二人はもちろん、それぞれが魅力の詰まった個性的なキャラです。まだ内面等が描き出されていないキャラも多くいるので、これからの楽しみの一つでもあります。
本作、まだまだ予断を許さない厳しい展開が続き、この先いったいどうなっていくのか想像さえ難しいのですが、だからこそこの狂おしくも愛しい世界をじっくり歩いて行きたくなります。
荒涼たる世界の中に救いは見出せるのか。彼らが行きつく先はどんな世界なのか。
最後まで追い続けていきたい作品です。
没頭させてくれるダークファンタジーをお探しの方、本作こそ手にしてみてください。
はじめの「セントバ大図書館[設定編]」は、本当に設定だけで、恐るべきボリュームと情報量を誇ります。
読んでて、「あっ、覚えきれんやつ……!」となった馬鹿がここにいます。
世界観がきめ細かく重層的に作り込んで……つまり、いくつかの国と、いくつかの神話と、魔法のいくつかの流派(成り立ち含む)です。
こういうのが好きな方は「くっはー! 燃えるぜ!」となると思います。
まあ、覚えきれなくても、なんとかなります。
でも、一読しておくことをオススメします。
次の「Kissing a fool (before the epiloge)」は、物語のクライマックス、最後のちょっと手前が切り取られて見せられているかんじ。
1、重唱と、2、六十五番目の狼の時間軸が、ふっ、と飛ぶので、注意。
その後、「Let The Bad Time Rall」 からは、なめらかに中世のようなファンタジーが語られます。
主人公の剣士は、めっちゃ強いです。ちょっと陰を感じるキャラですが、人を助けたい、その思いを手放すことはない主人公です。
暴虐のシーンも、「モザイクをかけない描写」なのですが、迫力の戦闘シーンと、それぞれ思い悩むキャラ達の心情が細かに描かれます。
自分から逃げようとした女性キャラが、立ち向かわなきゃ! と読んでて光を感じるシーンもありますし、読みすすめても謎のベールを分厚くまとうヒロイン達がいます。
この重厚に織られた物語は、けしてあなたを飽きさせることはないでしょう。
さあ、本格ダークファンタジーの世界へようこそ。
とてもおもしろいです。
物語の道筋を綿密に決めた上で執筆されているのではないか、と思わせてくれます。
中心人物を切り取った写真を見ているように周りの情報が提示され、またキャラも上手く利用してボカしているので、興味を失うことなく読み進めることができます。
また、行間の取り方が読み手にとても配慮されており、繊細な文章とあわせて断片的な物語が取りこぼすことなく頭に滑り込んでくる感覚がとても気持ちよいです。
ダークファンタジーとして世界観が確立されており、しっかり伝わってくる分、惨劇が描かれる場面も緊迫感や悲壮感もより深く味わえるので心しておくことをお勧めします!
世界観に没頭するため、かなり厳しい世界であることに目を背けたくなりつつも、そんな世界で生きる登場人物の行く末を見守りたくなるとても繊細な物語、みなさんにも読んで頂きたいと思いました!
えっと「真・女神転生」が好きな人は、こういうの好きだと思います。ストーリーというか、雰囲気が「ちょっと」だけ「真・女神転生2」に似ていますので
ただ内容は残念ながら「シビア」なダークファンタジー。主人公とヒロインの恋愛だけが「唯一の救い」と思える物語は久しぶりに読みました。でも、私はこういうの方が好みかなぁ。「救いがない世界」に「わずかな救い」を求めて頑張る小説って、私はかなり好きなので・・・
最後に「注意」事項。この作者は描写力がとてつもなくうまいのに「容赦」なく「残酷なシーン」をねじ込んできます。なので「ホラー」とか読めない人は、ちょっと無理かもしれないですね。気をつけてください。