幕末日本に転生しましたが、現代知識を活かしてスポーツ振興を目指します

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（696文字）

私は歴史小説が好きで、幕末の物語も幾つも読んできました。

でも、この物語は日本だけでなく世界を巻き込んだ幕末史。なので、日本の幕末の知識と世界史の知識が両方必要です。

話として面白いのはもちろんですが、「この時ビスマルクは何してたっけ？」と思いながら世界史の教科書で確認する……そんな感じの小説です。

歴史好きには超オススメです！

いや、なに、当たり前なこと言っているの？　なのですが、体育がからっきしダメで、スポーツが嫌い、興味ない人間には、歴史上の人物と一緒にスポーツがでてきただけでびっくりしました。
またこれ、当たり前な話なのですが、時代と共にスポーツは進化していくわけで……そのあたりも幕末に生きるヒトと現代のルールを知るヒトとのすり合わせとかが楽しみです。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（141文字）

主人公は幕末に転生します。
彼の名は燐介《りんすけ》。
現代の知識を生かして、スポーツ文化に貢献しよう、オリンピックだあ！　と決意します。
で、１２歳で外国に渡ります。
で、世界のあちこちの王子様やら皇后さまやら、パイプを作っちゃう！
なんと破天荒な！
体感的には、

スポーツ：４
世界史：３
日本史：３

で構成された物語です。
スポーツに詳しくなくても大丈夫。
へぇ〜！　知らなかった！　が次々飛び出して、面白いんです。
幕末だから、まだ、プロサッカーとかない時代なんです。そこで、

・プロ野球の創始者って知ってる？

・はじめのプロゴルファーって知ってる？

・野球黎明期に、剛速球、バッ…続きを読む

主人公の存在がスポーツ史の歯車の立ち位置でありながら、歴史の生き証人の目線でスポーツを絡めて解説してくれるのが、奇抜で面白いです。

冒頭から幕末でオリンピックの単語が出て来て、目から鱗でした。
歴史物はあまり興味が持てませんでしたが、この物語は先の展開が楽しみです。

　この作品は幕末に転生した現代の主人公がその知識を生かして無双する…、わけではなく、なんとスポーツ振興に取り組み始めるというかなり異色な物語です。
　作者様の豊富な知識もあり、現代スポーツの起源が思いのほか古いということが良く分かります。
　幕末好きにもスポーツ好きにも楽しめる一粒で二度おいしい作品。
　是非ご一読を。