概要
高校一年生の少年、桜庭灰慈《さくらばはいじ》もその一人。
『花咲かじいさん』の末裔であり、「灰を花に変える能力」を持つ花咲師だ。
彼は先代の祖父に憧れ、遺灰を花に変えて弔う「花葬り《はなはぶり》」という儀式を始める。
様々な人の死に触れて、灰慈はいかなる花を咲かせるか。
これは、人々の生きざまと少年の等身大の成長を描く、現代日本おとぎ話。
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※カクヨムコン8中間選考突破。
※本作は過去に投稿した『御伽術師・花咲か灰慈〈短編版〉』の長編リメイク作品です。主要キャラクターたちはそのままに、物語を全面的にブラッシュアップ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!体が灰になったとしても、その愛情は生きている
『御伽術師』という、おとぎ話をモチーフにした能力者が存在する世界が舞台のお話です。
本作の主人公は、花咲かじいさんの末裔である桜庭灰慈。灰を花に変えることのできる能力を使い、火葬後に遺灰から花を咲かせて弔う『花葬り』を行います。この設定がもうワクワクですよね。
お人好し高校生の灰慈が、色々な人と関わり、向き合い、成長していく姿が描かれていて、どの話も最高でした!
登場人物がみんな好きなんですよね。水川さんもツヅラも黒古さんもみんな魅力的でした。私は白洲さん推しです!
花葬りのシーンがとても素敵です。
どんな花が咲くかはその人次第ですが、花の種類にもしっかり意味があって、願いや祈り、感謝や…続きを読む - ★★★ Excellent!!!一握の灰、その刹那に心咲かせる。
なべて人に訪れる平等とは、死である。
荼毘に付された肉体は灰となる。
その灰を一握、やさしく掬い取って天に撒く桃髪の少年がある。
――ご存知、御伽噺界のレジェンド、花咲か爺。その人の末裔である灰慈少年こそが本作の主人公である。
いやもう大好きですよ、たまりませんよ。最初から最後まで泣きっぱなしでした。ティッシュなしに読めないなんて聞いてませんよ、タグに入れなきゃ「ティッシュ必須」って。
灰慈少年は、火葬の後、亡くなった方の灰を掬い取り、散骨ならぬ散灰をすることで中空に花を咲かせます。彼の散らす灰は、故人の思いの籠った各人異なる花を咲かせると言う、元祖を超えた不思議なのです。
故…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人の終末と正面から向き合う特異な青春ファンタジー
若い男女の心の揺らぎを丁寧に描いているのが根幹だがバックグランドとして人の終末と正面から向き合ってリアリティをもって進行していくのが凄い。
更に御伽話と融合した特異なファンタジーとして成立させているセンスに驚き。
読者に一気読みさせるパワーも圧巻。
本編では花咲か爺さんからのエッセンスが主人公に与えられて中心となっているが、脇役となっているキャラクターの御伽話にスポットを当てた続きをどうしても期待したくなる。凡庸な自分にはどんな御伽話にスポットを当ててもこのクオリティでの続編は想像もつかないが乙島紅ならきっと奇想天外なファンタジーを書いて再び驚かせてくれるでしょう。