一握の灰、その刹那に心咲かせる。

なべて人に訪れる平等とは、死である。

荼毘に付された肉体は灰となる。

その灰を一握、やさしく掬い取って天に撒く桃髪の少年がある。


――ご存知、御伽噺界のレジェンド、花咲か爺。その人の末裔である灰慈少年こそが本作の主人公である。


いやもう大好きですよ、たまりませんよ。最初から最後まで泣きっぱなしでした。ティッシュなしに読めないなんて聞いてませんよ、タグに入れなきゃ「ティッシュ必須」って。

灰慈少年は、火葬の後、亡くなった方の灰を掬い取り、散骨ならぬ散灰をすることで中空に花を咲かせます。彼の散らす灰は、故人の思いの籠った各人異なる花を咲かせると言う、元祖を超えた不思議なのです。
故人の心に感応しながら彼は花を咲かせ続けます。
優しさと強さを育てながら。


そんな彼の周囲を固める人々もまたあたたかく優しい。


生きる事は大変だけれど、死ぬことも辛いけれど、でも、やっぱり人生って、人っていいな。
そんな風に思わせてくれる、胸と涙腺にしみわたる物語でした。

読ませていただけて幸せでした。
本当にありがとうございます。

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