概要
マルシブ帝国第十六皇女アイシャは、地味で臆病者。ひょんなことから洗濯籠に隠れたアイシャは意図せず後宮から連れ出され、天竜(てんりゅう)の住まう泉に落ちてしまう。
アイシャを水中から救ったのは、西方蛮族討伐にて目覚ましい活躍をした女傑ナージファ。一目見て互いに惹かれあった二人は、やがて母子となる。
時は過ぎ、砂竜(さりゅう)の卵を孵す「竜生の儀」が行われる日、アイシャは従弟のファイサルと共に集落を抜け出した。
砂漠で遭難をしたアイシャ達は、無事に兄弟も等しい氏族に保護されるのだが、翌日集落に帰った二人の目に映るのは、焼け焦げ変わり果てた村の様子であった。
二人きり生き残った子供らは、竜の秘密をめぐる事件に巻き込まれてゆく。
竜の住む砂漠を舞台
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!母と子、人と竜の絆の物語。
舞台は砂漠。砂竜と呼ばれる竜が存在する王国の物語。隻眼の女傑ナージファに育てられた少女アイシャは、従弟のファイサルと共に集落で平穏な生活を送っていた。しかし、二人が外出した間に集落は何者かの襲撃を受け、帰還した時には灰燼と化していた。
故郷と庇護者を失い途方に暮れるアイシャ達だったが、他の氏族の招きに応じて新たな生活を開始する。やがて成長した二人は故郷を復興するために巡礼の旅に出るが、それが思いもよらぬ運命を紡いでいく。
この作者様の作品はどれもそうですが、とにかく情景描写が秀逸。本作も砂漠の情景やそこに住まう人々の生活ぶりが克明に描かれていて、あたかも砂の大地が眼前に広がっているよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!本当に素敵な作品です!
不器用で臆病なアイシャが可愛くて一生懸命で、ナージファママの不器用な愛をちゃんと受け取りながら大きくなったのがよくわかる素敵なお話です。ちゃんと愛されて育ったからアイシャは優しいし、アジュルにも愛を掛けてあげられるんですよね!そんなアイシャの周りにいる人たちも、なんだか居心地が良さそう。天竜やいろんな事情から、母と娘は悲しい結末になっちゃったけど、でもそれだけじゃない希望があるラストが良かったです!(´;ω;`)本編は終わっちゃったけど、後日談の講師もあるのでまだまだ浸れることが楽しみです!文章上手いしどのキャラもめちゃくちゃ魅力的で、アイシャもファイサルもナージファさんももちろ…続きを読む
- ★★★ Excellent!!!母から受け継がれし腕輪物語とアラビアンファンタジー
砂漠の国と砂竜のお話です。
主人公は臆病で少し不器用な女の子。
運命に導かれるように赤き砂竜使いナージファの養女となったアイシャ。
平本りこさまの魅力は何と言っても繊細で美しい描写です!
砂漠の幻想的な風景がまるで見てきたかのように浮かび上がります。
臆病なアイシャの心の成長に思わず「がんばって~」と声援を送りたくなります。
砂竜の謎、駱駝と氏族をめぐる旅。
クスッと笑える幼竜に
謎の噛み噛みトビネズミさん(気になる方はどうぞ♪)にほっこりします。
わたしは特に主人公のアイシャと従弟ファイサルの掛け合いが
カワ(・∀・)イイ!! と思いました。年齢とともに少しずつ二人は
大人にな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!3個でも30個でも300個でも星を送りたい!
目線を上に。
紫紺の空に浮かぶ巨大な月。
乳白色の微光を発する星の紗。
目線を下に。
橙色の砂丘の谷間、黒い天幕の群れ、赤い手綱の駱駝と赤銀色の砂竜の一郡。
文章が! 美しすぎる! しかも、最初から最後まで、ずっとこのクオリティなんですよ。
話も、とても面白い。謎を追いかけ、最後、きちんと物語は収束します。
主人公の少女はどんくさく、怖がりです。でも、私は、そんな主人公も大好きです。怯える小動物の如く、彼女の観察眼は鋭いのです。そして、感情の機微がみずみずしく描かれます。
とても素敵な物語に出会えました。
是非皆さまも、砂漠の金砂が散る熱風に吹かれに、この物語の世界に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!臆病で、しかし不器用な勇気を持ったアイシャは一歩また一歩と前に進む!
砂漠の帝国の第十六皇女として生まれ、窮屈に生きていくはずだったアイシャは、誇り高き赤の氏族の族長、女傑ナージファの養女となり、砂漠の民の一員となります。
血のつながらぬ、しかし紛うこと無く母娘としての絆をナージファと育んだアイシャ。臆病ながら誇り高き赤の氏族として育った彼女はある日従兄弟と集落を抜け出し……そして大きく運命が動き出すのでした。
鮮やかな砂漠の光景と息遣いを感じるような各氏族の描写。精神は水となり、肉体は砂に帰るという輪廻思想。そして、本当に死すれば砂に帰るという、砂竜と……全ての竜の母たる天竜という存在。滅んでしまった故郷と、その真相。
異国情緒たっぷりで、ともすれば重厚に…続きを読む