臆病で、しかし不器用な勇気を持ったアイシャは一歩また一歩と前に進む!

砂漠の帝国の第十六皇女として生まれ、窮屈に生きていくはずだったアイシャは、誇り高き赤の氏族の族長、女傑ナージファの養女となり、砂漠の民の一員となります。
血のつながらぬ、しかし紛うこと無く母娘としての絆をナージファと育んだアイシャ。臆病ながら誇り高き赤の氏族として育った彼女はある日従兄弟と集落を抜け出し……そして大きく運命が動き出すのでした。

鮮やかな砂漠の光景と息遣いを感じるような各氏族の描写。精神は水となり、肉体は砂に帰るという輪廻思想。そして、本当に死すれば砂に帰るという、砂竜と……全ての竜の母たる天竜という存在。滅んでしまった故郷と、その真相。
異国情緒たっぷりで、ともすれば重厚になるテーマのこの作品ですが、生き生きとした掛け合いがとても豊かであるため、何度くすっとさせられたことでしょう。

少し臆病で引っ込み思案なアイシャ。それでも決意して一歩一歩前に進んでいくさまは、たしかに彼女が誇り高き赤の竜使いなのだと応援したくなる、そんな物語です。

先日本編が完結したこの作品ですが、嬉しいことにまだまだ続きの後日談が綴られる様子。今こそ一気読みするチャンスかもしれません。


(「魅せる世界観×応援したくなる女の子」4選/文=渡来みずね)

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