聖典に記された異端の民族へ死の罰を与える、それを使命とする教団“悪への鞭”。その一員であるネイサンが、仲間と共にとある異端を「浄化」せんと刃を振るった直後――彼は教団へ入る以前の若き自分へと成り果てていたのだ。かくて始まる。彼が斬った黒髪黒目の男、ケントの能力による無間ループの生き地獄が。
死に戻りをテーマにしたこの作品、その特徴はなんといっても対象者が主人公である悪役ネイサンならぬ、彼が斬ったケントである点です。
ケントが死ねば時間が巻き戻り、ネイサンも強制的に時間を巻き戻されます。
ヒーローならループにはなんらかの意味や救いがあるわけですが、なにせネイサンは悪役。そんなものは一切ありません! 自分の知らないところでループを発動させられては過去へ引き戻され、努力も尽力も失い果てて悶え狂う。
ダークヒーローが魅せる負のカタルシスとはまた違う、悪役がひたすら苛まれる懲悪のカタルシスこそ本作最大の魅力なのです!
さあ、穏やかにして凄惨なる報いの果てをその目でお確かめください。
(「艱難辛苦が襲い来る!!」4選/文=高橋剛)