★★★ Excellent!!!
この出会いは幸運?不運?国王に溺愛されるワケあり狐の奮闘記! 文遠ぶん
ファンタジーと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、剣を手に戦う勇者や冒険者たちといった戦う人々でしょう。しかし忘れてはならないのが、その世界を支える職人の皆さんです。先祖代々続く鍛冶屋のおっさん、怪しい回復アイテムを作る魔女、はては大きな城や砦を作る屈強な大工の男たちまで。我々の世界と同じように、そんな地味な役どころの人々がたくさんいるのです。
そしてもっと忘れてはならないのが、彼らも我々と同様――急に“無職”になっちゃう事態がある、ということ。
主人公の妖狐『ヒムロ』(氷室)は優れた魔法具職人でありながら、生まれながらのトラブル体質。故郷から◯◯され、◯◯◯◯に育てられ、平和とはいえない国家の元で細々と暮らしていましたが今回、ようやく得た仕事も晴れて(?)失ってしまうという不運に見舞われてしまいます。
逃げ転がりながら辿り着いた先は、これまたなんの因果か強そうな国王様のお膝元。お膝というよりもう直接額を付き合わすほどの距離です。さらに職人としての腕も見込まれ、あれよあれよとお城付きの職人というとんでもない身分の椅子に座ることに……。
側から見るとなんとも羨ましい出世コースなのですが、面白いのはヒムロが全方位に勘違いしてしまうところ。幼少期の思い出が原因で極端に自己肯定の低い彼は、この降ってきた幸福を素直に受け止めることができません。どう見ても溺愛されているのに気づかないところ…
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