※5-3読了時点でのレビューです
追放モノのBLファンタジー。主人公は武器すらも無い状態から始まりますが、よき協力者にも恵まれ、着実に反攻の足掛かりを築いていく、というような流れになっています。
主人公は硬派な男です。しかし国で待つツンデレな相方さんとのやり取りは微笑ましく、そのギャップは本作の大きな魅力だと思います。ストーリーや世界観は重厚ですが、読んでいる側は可愛いなあと思いながら応援していくことになるでしょう。そして主人公たち以外にもう一つ、一目惚れ系の素敵なカップリングがあります。おそらくそちらも好きになるかたが多いのではないでしょうか。
文章も読みやすく描写も丁寧ですので、BLファンタジーが好きなかたにはおすすめの作品です。
裏の商業国家として名高いゼルスという国で宰相を務めていたエリアスは、ある時突然身に覚えのない罪で国外に追放されてしまいます。幼馴染で片思い中のスノウとも引き離され、無一文の状態で投げ捨てられたエリアス。おまけに国王と共に国内情勢を良くしようと改革していた夢まで遠のいてしまいます。けれどもそこで折れるエリアスではありません。頼もしい仲間を集めて力をつけ、国家と愛する幼馴染を取り戻す為に立ち上がります──。
などと重たい場面から始まるものの、中身はとてもほのぼのしたBLファンタジー。たくさんの魅力的なキャラクターが作品を華やかに彩ります。
雄々しく、人望のあるエリアスは男らしくてカッコいいのですが、片思いをしているスノウのことになるとすっかり恋する男に。スノウもツンツンしていますが、エリアスのことをとても大切に想っているのが伝わってきます。
旅の途中で出会ったスレイトは自分の情熱に忠実に生きているし(笑)、敵組織と縁のあるミラも加わって一行はドンドン賑やかに。
エリアスとスノウの両片思いカップル、スレイトとミラの一目惚れカップルの二つのカップルを同時に応援できるのも本作の魅力の一つです。
一口にファンタジーと言っても、テレビゲーム風だったりRPG風だったり、はたまた本格ファンタジーと様々な種類がありますが、読み味としては「RPGのゲームをノベライズ化」したような感覚かもしれません。主人公の心情に思い切り感情移入する感じではなく、定められた目標に向かってストーリーを進めていくキャラクター達の、恋あり笑いあり、はたまた格好いいアクションや魔法合戦が活きるバトルありの冒険譚を一緒に追いかけていくような、どこか懐かしい感覚の物語です。
またこの作品は「エレナーゼ大陸」という細部まで練られた世界を舞台にしたシリーズのひとつでもあり、関連作品が豊富なのも魅力的。(もちろん本作単体でも楽しく読むことができます)
エレナーゼシリーズを楽しむ為の導入としてもお楽しみいただける、読んでいて心地の良い作品です。
主人公が国王暗殺を企てた罪で国外追放を命じられるところから物語は始まります。
しかし、主人公エリアスにとってその罪は全く身に覚えのないものでした。反論するも周囲は全く聞く耳を持たず、あっという間にその身一つで国境の外へ飛ばされてしまいます。城に最愛の幼馴染を残して。
果たしてエリアスは無実を証明し、愛する人と国へと戻ることができるのか!?
出だしから主人公はハードモード。闇組織のリーダー兼国の宰相としての地位も武器も失った状態で放り出されてしまいます。
しかし、エリアスは前向きです。悲観しても何も変わらないと、すぐに思考を切り替えます。
そんな彼の人柄に釣られてか、彼の下には心強い仲間が集います。
ちょっと世間知らずだが、どこまでも良いヤツな精霊使いのスレイト。
彼は国の狭間で倒れていたエリアスを快く介抱してくれます。
身体能力や情報収集能力に長けた忍びのミラ。
彼はとある事情からエリアスに加勢してくれることとなります。
そんな彼らはエリアスの危機的状況を忘れさせてくれるほどに明るく頼もしく、彼らとならばきっと反撃の糸口が見つかるはず!
そう読者に思わせてくれます。
さらに、城に残してきてしまったエリアス最愛の人スノウも、魔法でエリアスとコンタクトを取りながら城で情報を集めたりと陰ながらサポートをしてくれます。
初めこそハードな展開ですが、キャラクターたちのおかげで物語は楽しく前向き雰囲気で進みます。
更にこの物語は「BLファンタジー」
主人公のエリアスとスノウだけでなく、他にも可愛いカップルが登場します。
彼らの恋が物語の中でどうなっていくのかも注目してみてください!
陰謀もバトルも、そしてほっこり恋愛模様も楽しめる贅沢な作品です。
是非ご一読ください!
訳あり国家ゼルスで闇組織《赤獅子》のリーダーを務めるエリアスは、心当たりもない罪状を突きつけられ、あるはずもない証拠を見せつけられ、国外へと追放されてしまう。
よりによって、陥れた相手の元に最愛の幼馴染みを残したまま――。
いきなり過酷な幕開けですが、エリアスの苦難はさらに続きます。無一文で丸腰のまま、追い討ちのような魔法による転移追放。
強制的な魔法によるひどい酔いのため立ち上がることもままならずにいたエリアスを助けたのは、そこを通りがかったお人好しの一般人でした。しかしこの一般人、顔良し性格良し、しかも超金持ちらしい魔法使いで……!?
無一文でも運は強い主人公エリアスと、王城に残された人嫌いの半竜青年スノウ。いまだ片想い同士のふたりが引き離されたままつなぐ絆と、エリアスが出会った個性的な面々との信頼関係を軸に、物語は展開します。
広がる人脈を辿っていくうちに首謀者たちの意外な過去が浮かび上がってきたり、ゼルスという国家の深淵を覗くことになったりしますが、基本的にはコミカルで賑やかなBLファンタジーです。
主人公カプ以外の恋愛模様も見応えあり……? ぜひご一読ください。
状況が完全に一致する導入から始まる熱い物語です!
まさにあらすじの通り状況の一切が不明にも関わらずすでに絶体絶命という状況・・・なのですが、主人公が冒頭からその発する言葉一つ一つに重みがあり、孤軍奮闘でも頼もしく見えてしまいました!
1章が追放までの経緯を描いた物語ですが、出てくる人物が設定、もといキャラがたっており決して多くはない掛け合い、やり取りを経ただけにも関わらず物語の輪郭までくっきりと見えるようでした!
キャラが立っているがゆえにこのやろう・・・と思う人物もいますが・・・!!
そして追放後から始まる世界。
主人公には非常に申し訳ないのですが、世界観の練り込みが深く種族や特性が綴られていく進行は期待をするな、というほうが難しいです・・・!
陰謀を暴くための壮大な冒険は、すでに主人公と読み手の視線がぴったりと一致しているため、ブレようがありません。
だからこそ綴られていく物語に没頭することができます!
そんな頼もしい獅子の活躍。みなさんもご覧になってみてはいかがでしょうか?