恋する男達の感情にキュンとしながら進め!赤と白の暁の改革記
- ★★★ Excellent!!!
裏の商業国家として名高いゼルスという国で宰相を務めていたエリアスは、ある時突然身に覚えのない罪で国外に追放されてしまいます。幼馴染で片思い中のスノウとも引き離され、無一文の状態で投げ捨てられたエリアス。おまけに国王と共に国内情勢を良くしようと改革していた夢まで遠のいてしまいます。けれどもそこで折れるエリアスではありません。頼もしい仲間を集めて力をつけ、国家と愛する幼馴染を取り戻す為に立ち上がります──。
などと重たい場面から始まるものの、中身はとてもほのぼのしたBLファンタジー。たくさんの魅力的なキャラクターが作品を華やかに彩ります。
雄々しく、人望のあるエリアスは男らしくてカッコいいのですが、片思いをしているスノウのことになるとすっかり恋する男に。スノウもツンツンしていますが、エリアスのことをとても大切に想っているのが伝わってきます。
旅の途中で出会ったスレイトは自分の情熱に忠実に生きているし(笑)、敵組織と縁のあるミラも加わって一行はドンドン賑やかに。
エリアスとスノウの両片思いカップル、スレイトとミラの一目惚れカップルの二つのカップルを同時に応援できるのも本作の魅力の一つです。
一口にファンタジーと言っても、テレビゲーム風だったりRPG風だったり、はたまた本格ファンタジーと様々な種類がありますが、読み味としては「RPGのゲームをノベライズ化」したような感覚かもしれません。主人公の心情に思い切り感情移入する感じではなく、定められた目標に向かってストーリーを進めていくキャラクター達の、恋あり笑いあり、はたまた格好いいアクションや魔法合戦が活きるバトルありの冒険譚を一緒に追いかけていくような、どこか懐かしい感覚の物語です。
またこの作品は「エレナーゼ大陸」という細部まで練られた世界を舞台にしたシリーズのひとつでもあり、関連作品が豊富なのも魅力的。(もちろん本作単体でも楽しく読むことができます)
エレナーゼシリーズを楽しむ為の導入としてもお楽しみいただける、読んでいて心地の良い作品です。