ファンタジーと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、剣を手に戦う勇者や冒険者たちといった戦う人々でしょう。しかし忘れてはならないのが、その世界を支える職人の皆さんです。先祖代々続く鍛冶屋のおっさん、怪しい回復アイテムを作る魔女、はては大きな城や砦を作る屈強な大工の男たちまで。我々の世界と同じように、そんな地味な役どころの人々がたくさんいるのです。
そしてもっと忘れてはならないのが、彼らも我々と同様――急に“無職”になっちゃう事態がある、ということ。
主人公の妖狐『ヒムロ』（氷室）は優れた魔法具職人でありながら、生まれながらのトラブル体質。故郷から◯◯され、◯◯◯◯に育てられ、平和とはいえない国家の元で細々と暮らしていましたが今回、ようやく得た仕事も晴れて(?)失ってしまうという不運に見舞われてしまいます。
逃げ転がりながら辿り着いた先は、これまたなんの因果か強そうな国王様のお膝元。お膝というよりもう直接額を付き合わすほどの距離です。さらに職人としての腕も見込まれ、あれよあれよとお城付きの職人というとんでもない身分の椅子に座ることに……。
側から見るとなんとも羨ましい出世コースなのですが、面白いのはヒムロが全方位に勘違いしてしまうところ。幼少期の思い出が原因で極端に自己肯定の低い彼は、この降ってきた幸福を素直に受け止めることができません。どう見ても溺愛されているのに気づかないところとか、自分の中に芽吹きはじめた気持ちを自分で否定してしまうところとか、もうね……バシッと背中を叩いて励ましてやりたくなるほどいじらしくて、かわいい主人公なのです。
そんな彼も、前だけを見る国王様の自信に感化され少しずつ変化を遂げていきます。逃げ続けていた自分の過去と向き合い、今できることを探す。前半と後半ではっきりと明暗が分かれている物語はよくある調子の良いラブコメとは一線を画するものであり、読み応えばっちりです。大きく成長したヒムロの大健闘と勇気に、きっと声援を送りたくなるはず！
大切なひとと出会った時に得る優しさや強さ、そして愛がたくさん描かれた名作。最初はぜひ軽いお気持ちで、そして後半はしっかりと腰を据えて読んでいただきたい物語です。
主人公の職探しから始まる物語、とても導入部分から読み応えがあります！
その不幸体質が序盤から存分に発揮され国王に取っ捕まるわけですが、結果としては不幸というわけではなく・・・
主人公はなかなか素直になれない性格から、すぐに打ち解けるというわけでもなく、徐々に時間をかけて国王との仲を深めていくことになります。
性格的に凸凹コンビではないですが、上手く噛み合ったようなそんな綺麗な歯車を眺めているようなマッチング。
主人公が成長していく姿もまた感慨深いものがあり、不幸体質だった彼が・・・と、それを眺めているだけでも胸に込み上げるものがあります。
また、他の方も書いていますが、BLジャンルに分類される作品ですが、作者様の筆力の高さもあり、とてもマイルドに仕上がっているため、ちょっと気軽にページを開いてみても後悔することはないと思います！
キツネの耳と尻尾をもつ妖狐の氷室（ひむろ）は、魔法具職人として仕事をしていましたが、始まりからいきなり職を失ってしまいます。
それというのも、氷室が取引をしていた相手は闇の組織。世界が平和になるにつれて弱体化してしまい、そのままクビになってしまったのです。
職探しのために別の国に渡った氷室。そこで色々あって出会ったのは、なんと国王陛下(グリフォン)でした。
闇組織嫌いとして有名なこのギルヴェール国王陛下。バレたら大変と氷室は逃亡を図りますが、あっさりと失敗。
しかし待っていたのは……まさかの厚待遇(溺愛)！？
キャッチコピーにもあるように、不運属性の氷室を、兄貴気質なギルヴェール国王が優しく包み込んでくれる物語です。
最初はツンツンしていたものの、真っ直ぐに好意を伝えてくれるギルヴェール国王に満更でもないのか、尻尾や耳で好意が溢れてしまう氷室。
その様子は微笑ましくて、読んでいてこちらもニコニコしてしまいます。
しかし過去のトラウマから、氷室は素直にギルヴェール国王の好意を受け入れられません。
しかし彼の優しさや抱えているものに気づき、「自分も国王のために何かしてあげたい」と思うことで、氷室も次第に強くなっていきます。
その様子は健気で、つい応援したくなってしまいます！
また、氷室の養父を始め、彼の周囲には彼を愛してくれる人々がたくさんいます。そんな人たちに可愛がられている氷室は、見ているこちらも幸せになりますよ。
心暖かくなれるBL作品です。
寒い日々のお供にもオススメですよ！
魔法具を作る事を生業としていた妖狐のヒムロ。しかし商売先を失って、なんとか新たな仕事先を見つけようというところから始まる本作。
闇の組織と関わりがあるなんてバレたら…のドキドキから、あっという間に別のドキドキになって行くのは、新たな雇い主のギルヴェール国王の積極的アプローチ。誤解を招くような言い回しとか、そんなの男同士でもドキドキしちゃうって！
肝心なところでアンラッキーを拾ってしまうヒムロだけど、周りの人間に恵まれて、重くて哀しい過去やトラウマを思い出すたび、がっつり大切にされるものだからすっかり絆されていく流れが、ほのぼの。
ＢＬとなっていますが、濃厚な恋愛ものというわけじゃなくて、イケメンがイケメンを愛でてる様子を、読者が愛でる系統でしょうか。
壁（主に主人公が設けてる）がどんどん薄くなって仲良しになっていく二人を、ニコニコ眺めるのが好きな人に特にお薦めします。
和国出身であるヒムロは闇組織相手に取引をする腕の良い魔法具職人ですが、ある日突然取引を破棄されて路頭に迷うことに。
新たな取引相手を求めて商業国家ルーンダリアの王城に訪れた彼に紹介された大手顧客はなんとルーンダリアの国王、ギルヴェールだった！
美丈夫でイケメンの国王様（グリフォン）と不運体質の妖狐の青年。グイグイ迫ってくる国王様にしどろもどろになりつつも、尻尾がブンブン揺れることで国王様への好意がダダ漏れになってしまうヒムロがとても可愛いです。
ヒムロは巻き込まれ体質で敬語も苦手という(笑)元気な青年ですが、実は過去に酷い目に遭っており、大きなトラウマを背負っています。家族と引き離され、弟と生き別れになり、奴隷として生きてきた幼少期。時折過去のことを思い出してしまいますが、その度に国王様が側にいてヒムロを支えてくれます。
本作はBLジャンルではありますが、雰囲気はドロドロしておらずアッサリ読めるの点も魅力です。どちらかというと、不運な青年が甘々な王様に溺愛されてヨシヨシ甘やかしてもらえる関係を楽しむお話という感じ。幼少期のトラウマの原因である人狼の牙炎と対峙する時も、今は守ってくれる周囲の者達の存在に読者も救われます。
だんだんと国王様への気持ちを自覚してきて大切な存在になりつつあるヒムロ。
この二人の関係がどこに行き着くのか、ぜひ一緒に見届けてほしいと思います。
不幸体質妖狐・ヒムロが、俺様グリフォン国王のギルヴェールに出会い、存分に愛でられるBL作品です。
割と対極な性質に見える二人ですが、それらがまったくぶつからないどころかこれ以上ないくらいうまくかみ合っていきます。その一つ一つの絡みを経て主人公ヒムロは逞しくなっていくので、受け取っているのはただの溺愛だけではないということも感じ、読み応えのある作品になっていると思います。
この作品の特徴として、かなりキャラクターの背景が奥深いです。
もちろん最初から面白いですが、読めば読むほどさらに面白くなるスルメ作品だと思います。文章もかなり読みやすい一人称で、BLジャンルではありますが万人におすすめできます。
妖狐の魔族でとっても腕のいい魔法具職人ヒムロが、新たな職場を求めて旅立つところから始まるお話。
ヒムロが自身の作った魔法具で世界を無双する……わけではありませんが、とっても強くてかっこよくて金ぴか(笑)のギルヴェール国王様の心は無双します。
不運属性の主人公ヒムロが口では文句を言いながらも、俺様国王ギルヴェールによしよし宥められながら自分の居場所を見つけていく。
ただ甘やかされるだけかと思いきや、読み進めていくとヒムロの悲惨な過去や因縁の相手なんかも絡んできて、合間に入るシリアスのスパイスがいい緩急になっているので、ダレることなく読んでいけるかと。
あとこちらの作者様で私がいつも羨ましいなって思うのは、一人称のボケ突っ込みが秀逸なんですよね(笑)
それが地の文にサラッと組み込まれてくるから油断ならない……飲み物飲みながら読んでたら気をつけて！
登場人物はほぼ人外なので、人外好きの方にもおすすめ！
「お前、俺のこと好きだろ」って尻尾でバレてるの超可愛かった！
ほのぼの癒やし系びーえるにほっこり、そして時々クスッと笑って下さい！
和風要素がある異世界を舞台に、不運な妖狐の青年が職を探してお城に迷い込み、国王様に見初められて可愛がられる……という、異世界BLファンタジーです。
主人公の氷室（ひむろ）は和国から流れ着いた妖狐で、不慣れな大陸でも得意の魔法具作りを生業にしながら頑張って生きていたのですが、ある日突然、理不尽な理由で失業してしまいます。新たな職を得るため新天地を目指したものの、立て続けに不運に見舞われて――。
序盤でテンポよく展開する不運の最後に、彼が辿り着いたのは商業大国ルーンダリア。職を斡旋してもらおうと訪れた先で、なぜか転がるようにお城へと誘われ、彼はそこでルーンダリアの国王ギルヴェールと運命の出逢いを果たすのでした。
臆病で人間不信なところのあるヒムロと、自信家で案外優しい国王陛下、二人の変化してゆく関係性がこの物語の見どころです。序盤の山場はもちろんヒムロが無事に就職できるかですが、国王との仲はじわじわと進展してゆきます。
主人公の一人称が軽妙で緩急もあり、物語が進むにつれてシリアスな過去も明らかに。楽しく読めるBL作品ですので、タグをご確認の上ぜひご一読ください。