概要
屋敷が火災で焼失したジェラルドは、夜な夜な行方不明となった妻と娘を探していた。
一方、城下では『左足首だけの幽霊』が家を転々としていると話題になっていたが……。
【マルゲリータの魔女】
ジェラルドは、時折感じる視線に悩まされていた。
一方、チェーザレはある日を境に、悪夢に悩まされることになり……。
【ローザの砂糖菓子】
隣国の花の大祭に赴いたジェラルドとチェーザレは、思わぬ人物と再会する。
大祭中に起こった事件を、シュテルンの元老院と協力して追っていくが……。
【ジッリオの守り人】
???
宰相ジェラルドと近衛隊隊長チェーザレの両翼が、問題を解決したりしなかったりします。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ファンタジーであり、ミステリーでもある、信頼と友愛の物語
宰相と近衛隊長は、少年王を間に挟んで並び立つ両翼であり、幼なじみであり、唯一無二の親友である――これだけでもわくわくしてくる設定ですが、彼らを中心に紡がれる物語は、ファンタジーであると同時に、ちょっぴり怪異譚であり、事件を追うミステリーでもあります。
ただ、主眼は謎解きそのものではなく、事件にまつわる人々の人間模様――誰かを想う姿であったり、何かを願う心であったりするように思います。それが、時には優しく、時には哀しく、香り高い文章で紡がれています。
特に、最初の『イリスのリボン』は、涙なしには読了できませんでした。最も怪異譚要素が強めですが、いわゆるホラーではありません。日本の『飴買い幽霊』…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「宰相」と「近衛隊長」が繰り広げる、一味違った読みやすいミステリー小説
「宰相ジェラルド」とその親友「近衛隊長チューザレ」が繰り広げる「ミステリー」だと思います。読み始めると「ファンタジー」かな?って思って、気がつくと「ホラー」かもって思って、なんだ「ミステリー」じゃん!って感じな物語構成です。
えっとですね。「公式のレビュー」でも言及がありますが、「謎の置き方」や「怪異」の時系列での変化等に「オリジナリティ」があふれていて、ちょっと他のミステリーでは味わうことのできない「例えようのない」読み味になります。
しかも「文章」がうまい。特に、文の終わりが「韻」を踏んでいるかのような「テンポ感」のある終わり方をするものだから、本当に「ストレスフリー」で読み進…続きを読む - ★★★ Excellent!!!靴を、ちょうだい—— 城下に夜々現れる少女の幽霊はいったい何を語るのか
『イリスのリボン』
年若いファルファーラ国の国王に仕えるジェラルド、チェーザレ、アントーニ、ベネデッドの4人は若い日を共に過ごした親友だった。
月日が過ぎてジェラルドは国王を支える宰相に、チェーザレは近衛隊長となり、他の二人も国を支える役目を担うようになっていた。
ある時、ジェラルドの屋敷が何者かによる火事で焼け、その妻子が行方不明になる。ジェラルドは憔悴しながらもチェーザレを始めとする友人や部下に助けられ、事件の真相に迫っていく。愛しい妻と娘はいったいどこに——
物語は華やかな、そして石畳の音も聞こえる西欧風の王国で展開されます。物語の見どころは会話で紡がれていく登場人物の関係性です…続きを読む - ★★★ Excellent!!!交錯する心情と思惑! 怪異の奥に潜む謎、その真相とは……!?
若き国王より信を置かれる宰相ジェラルドは現在城を離れ、行方不明となった家族を探している。国王その人と、同僚であり親友である近衛隊長チューザレの気遣いをありがたく思いながらも己の目的へ向けて進み続ける彼。その周囲で起こる怪異や思わせぶりな事件には、果たしてどのような意味があるものか?
ジェラルドさんと国王と親友。縦と横の関係軸がしっかり結びつけられていて、作品世界がくっきりと浮き彫られているのが第一の魅力です。ここが明確化できていることで揺らせるのですよ、固く結ばれているはずの関係を。
そして謎の置き方も憎いのですよ。最初はただの怪異であったものが、じわっとジェラルドさんへ迫り来て、…続きを読む