交錯する心情と思惑! 怪異の奥に潜む謎、その真相とは……!?

 若き国王より信を置かれる宰相ジェラルドは現在城を離れ、行方不明となった家族を探している。国王その人と、同僚であり親友である近衛隊長チューザレの気遣いをありがたく思いながらも己の目的へ向けて進み続ける彼。その周囲で起こる怪異や思わせぶりな事件には、果たしてどのような意味があるものか?

 ジェラルドさんと国王と親友。縦と横の関係軸がしっかり結びつけられていて、作品世界がくっきりと浮き彫られているのが第一の魅力です。ここが明確化できていることで揺らせるのですよ、固く結ばれているはずの関係を。

 そして謎の置き方も憎いのですよ。最初はただの怪異であったものが、じわっとジェラルドさんへ迫り来て、キャラ同士の関係性にまで侵食する。キャラの造形力はもちろんなのですが、この構成力は本当にすばらしいとしか言い様がありません!

 蕾のように収められていた数々の謎がほころび、思わぬ花を咲かせるミステリーの妙、どうぞご堪能あれ。


(「縦から始まる主従の関係」4選/文=高橋 剛)

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