婚約破棄から始まる転生悪役令嬢の宗教改革

さて、私が本作を読んで最も面白いと思ったのは小説としての構造と構成の美しさです。

第1話からこの作品が貴種流離譚である事を明示する事によって異世界転生と悪役令嬢という2つのジャンルと宗教改革という複数のテーマを巧みに連動させ、背景世界や登場人物といった細部ではなく物語という要部を読ませ魅せる点などは描写の丁寧さと設定の細やかさが両立して初めて成立する面白さです。
特に、転生者としてのオレリアの描写を活かすための社会、文化、生活、宗教の基盤描写は秀逸の一言。

異世界転生モノの面白さは前世と今生の常識の差によるギャップだと思いますが、本作においてはそこに読者との間に教養の深度差というもう一つ…続きを読む

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（475文字）

まだ物語は始まったばかりですが、「宗教改革」という難解なお題の選び方と、それに伴ったいびつな世界設定が、TS主人公によってどう変革を迎えるのか？がとても気になっています。

更新が楽しみです。