概要
ある日突然海に突き落とされ、異世界へと転移してしまう。
そこで出会った傷だらけの海賊を、孤独感から助ける奏澄。
海賊は、助けた礼に用心棒として自分を傍に置いてほしいと頼む。
「用心棒をやるって約束だしな。命に代えても守ってやる」
「命には代えないでください。それは約束違反です」
「あぁ?」
「傍にいる、という約束でしょう。それが最優先です」
「――……。わかった」
何があっても共に在るという約束を交わして。
元の世界へ帰る方法を探すため、二人は海へと旅に出る。
これは別れに至る道。終わりを見据えた旅。何故なら彼女の望みは「帰還」、ただそれのみ。
限られた時の中で紡ぐ絆が、周囲を巻き込み、二人を変えていく。
そして
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ゆっくり心を寄せ合う2人の姿が心底愛おしい…!!
海賊モノであり、異世界ものであり、成長冒険譚であり、ラブロマンスであり。
様々なジャンルが絶妙に絡み合い、それでいて無駄がなく、一本の真っ直ぐな芯が通っている。どのジャンルのファンが読んでも間違いなく「面白い!」と言える作品です。
ラブロマンス好きの私としては、主人公カスミとレイズの関係性が堪らなく良い。絶妙な距離感を保ちつつ、じわりじわりと近付く距離。ゆっくり心を寄せ合う2人の姿は愛おしく
、とにかくキュンキュンさせられる…!
2人を取り巻く仲間たちも素敵。それぞれキャラクターが立っていて、宴のシーンは見ていて楽しくなります。
世界観、設定、描写も秀逸。作品の礎となっているのは間違いな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こぼれ落ちたその先で、生きる意味をさがして。異界の海を征く転移冒険譚!
誰かに突き落とされ、冷たい海へ真っ逆さま。
そうして奏澄(かすみ)が流れ着いた先は、海域を線引きされた異世界でした――。
この物語の主人公である奏澄は、何かの異能を授かるわけでもなく、特別な使命を帯びるわけでもなく、身一つ(とわずかな所持品のみ)で波打ち際に打ち上げられていたのでした。
途方に暮れる彼女の耳に聞こえてきた、人同士が争う音。
彼女はその場所で死に掛けた一人の男性を拾い、助けます。どう見ても堅気ではないその人物を治療するため、唯一の所持品さえも投げうって、です。
一目惚れではなく、義侠心でもなく。
二人の間にあるのは共依存。
はじかれた者たち同士がすがり合うだ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!魅力的で優しい共依存
題材は海賊。でも、とても優しいお話です。
海に突き落とされて異世界転移してしまった奏澄。
右も左も分からず、助けてくれる人もいない。
そんな状況下で、人助けをする。
芯の通った人なのかな、と思いきや、そこまで強くない。
そんなところに、メイズや海賊団の皆が惹かれたのかなと思いました。
心理描写がとても丁寧で、奏澄とメイズのラブロマンスに一喜一憂してしまいました。
時折、ライアーとマリーの目線に立ってしまうほどに。
成長は勿論のこと、二人が惹かれていく過程はとても素敵でした。
その二人の関係は「共依存」と書かれていますが、痛々しいものではありません。
時々垣間見得る独占欲が可愛らしいと思…続きを読む - ★★★ Excellent!!!かけがえのない仲間と共に、「帰るため」の旅をしよう。
現代日本で生きづらさを感じていた女性奏澄が異世界へと迷い込み、居場所を得ていく物語。同時に、彼女が孤独な海賊の心を癒していくという共依存の物語でもあります。
超常現象的な意味合いでの特殊能力がある訳ではなく、いたって普通の女性である奏澄ですが、彼女の「他人を思いやる心」はとても大きな力だと思います。
最初に出会った海賊メイズをはじめ、どんどん仲間が増えていく様子は、まさに王道!
仲間たちを虜にする奏澄の善良な人柄が、日常の描写から垣間見えて、微笑ましい気分になりました。
もちろんこの世界に暮らすのは、良い人ばかりではありません。胸が苦しくなるような切ないエピソードもあります。
そもそも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!たんぽぽ海賊団とともに大海原へ
素晴らしい。
本当に美味しいものを食べた時に「美味しい」としか言えないのと同じように、ただただ「素晴らしい」作品。
海賊ものではあるけれど、派手な戦闘シーンなどはほとんどありません。
また、Web投稿用に考えられたと思われる軽いタッチの作品サブタイトルのような、軽い作品でもありません。
人物たちの心理描写に重きを置いた、本格ラブロマンスです。
ある日異世界へ飛ばされてしまった奏澄は、元の世界へ戻るために船に乗って旅をする。
それはすなわち、いつか別れの日が来ることを意味している。
この世界で出会った素敵な仲間たち、そして自分の最も大切な人とも。
旅を続け、仲間たちの絆が深まるほど、その時…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心を照らし、暗がりに寄り添ってくれる物語
愛情でも信頼でも依存でもなく、「共依存から始まる成長と愛の物語」。この小説のストーリーや魅力がギュッと詰め込まれた、大好きなキャッチコピーです。
奏澄はある日海に突き落とされ、異世界へと転移してしまう。そこで出会った傷だらけの海賊を助けたことで海賊は奏澄の用心棒となり、元の世界へ帰るための旅が始まる。
鮮やかな導入、無理なく噛み合う様々な要素、それらを描き出す筆力。小説の最初から最後まで全部が好きで、名場面だらけなので、魅力を挙げ出したら切りがありません!
現代社会で生きづらさを抱えていた奏澄は、異世界に転移し、メイズや仲間と関わる中で己の内面と向き合い、様々なことに気づき、考え、成長…続きを読む