たんぽぽ海賊団とともに大海原へ

素晴らしい。
本当に美味しいものを食べた時に「美味しい」としか言えないのと同じように、ただただ「素晴らしい」作品。

海賊ものではあるけれど、派手な戦闘シーンなどはほとんどありません。
また、Web投稿用に考えられたと思われる軽いタッチの作品サブタイトルのような、軽い作品でもありません。
人物たちの心理描写に重きを置いた、本格ラブロマンスです。

ある日異世界へ飛ばされてしまった奏澄は、元の世界へ戻るために船に乗って旅をする。
それはすなわち、いつか別れの日が来ることを意味している。
この世界で出会った素敵な仲間たち、そして自分の最も大切な人とも。
旅を続け、仲間たちの絆が深まるほど、その時の訪れが怖くなる。

この心揺さぶるストーリーラインを軸に、世界の謎、秘密たっぷりの政府的機関、四大海賊など、ワクワクする要素も取り込まれ、小説として素晴らしい仕上がりを見せている。人物たちは大人な考えを持つ人が多く、冷静かつ客観的な視点が作品に品の良さを与えている。

大人の女性向け恋愛冒険小説。だと思う。
こんなすごい小説が普通にWebに投稿されているすごい時代だ。

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