概要
パステルは人との関わりを拒否し、社交シーズンでも領地で少数の使用人とのんびり過ごしていた。
閉ざされた世界で静かに暮らすパステルの元に、ある日、突然空からセオと名乗る少年が降ってきた。
セオは、感情を持たず、何処から来たかも分からない不思議な少年だった。
他人に必ずと言っていいほど憐憫や嫌悪、好奇の目を向けられるパステルは、何の感情も向けずに真っ直ぐ自分に向き合うセオに、徐々に惹かれていく。
だが、セオには「好き」の意味が分からない。
さらには、パステルの眼と、セオの失われた感情には、隠された秘密があって——?
不器用に、一歩ずつ、それでも成長しようともがく二人。
欠けている二人の、不思議な関係が始まる——。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!幸せは連鎖する
大丈夫、全部うまくいく。
心配はいらない。愛することさえやめなければ。
そんなメッセージを受け取りました。
これは光の物語です。
私はこの作品をいつも朝に読んでいましたが、いつだって希望を胸に歩む登場人物たちは、まさに朝の光のようでした。
幸せは連鎖する。
本編に出てくる言葉です。
怒りや悲しみが連鎖しやすいことは誰しもが感じることだと思いますが、作者さまは幸せに焦点を当て、作品を通してそれを読者に伝え続けます。
そもそもタイトルの「虹」は光と幸運の象徴です。
何もうまくいかない、つらい、苦しい。
今そう思っている方は、ぜひこの物語に触れてください。
幸せは連鎖する。
幸…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小説という『モノクロ』の世界に、『色』を添える美しきファンタジー
小説というのはタイトルにもある通り、基本モノクロの世界です。
この物語の主人公パステルもまさにそう。彼女が見る景色には『色』がありません。
そして、彼女の前に現れた不思議な少年セオもまた、『感情』という『色』を失っています。
記憶さえも欠けている中、それでも何故か……惹かれるものがある。
共に行動する中で二人は、徐々に自分の欠けたものを取り戻していきます。
すると、どうでしょう? 二人の関係に彩が生まれるじゃありませんか!
しかも彼らだけじゃありません。読んでいる我々の心にも、いつの間にか暖かな『色』が添えられているのです。
少しもどかしく、それでいて応援したくなる二人の物語……
あな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!梅雨のように感情が揺れ動く作品。
最後まで読ませて頂きました。
完結おめでとうございます!(о´∀`о)
自分の感覚になってしまうのですが、この作品を読んで「まるで梅雨のようだ」と感じました。
長い間暗い気持ちになるのもそうですが、梅雨の晴れ間のように嬉しい体験(色や感情が戻っていく)があり、そして再び雨に戻る(キャラクターたちの関係の変化や魔法を使うことで色が無くなる)ことで、嬉しさから一転する。
そして梅雨明けがあるように、最後には気持ちよく終わりを迎える。
そんな感覚でした( ´∀`)
さらに色が戻るシーンでは、どんよりとした雲が少しずつ隙間を作り、そこから一色ずつ虹が漏れ出ていくようにも感じました。
色がな…続きを読む - ★★★ Excellent!!!『七色メロディー♪』 7月25日最終回!お見逃しなく!
色がない世界、灰色の世界。
そんな色を識別できない主人公のパステルちゃん。
そんな彼女は優しくもいい子なのですが、やはり社交的にはなれなくて……人との関りが怖くて。
人との距離を置く生活を送る貴族令嬢―――。
そんな彼女の元に、ひとりの少年が降ってくるところからお話は始まります。
彼もまた感情がわからない不思議な子。
そう、彼女は『色』を彼は『感情』を失った者同士。
そんなふたりの関係に、彼女は彼に惹かれてはじめ、心を開きはじめたとき……彼は彼女の前から去ってしまいます。
それからしばらくして再開するふたり。
その再開から始まる、パステルちゃんの『色』、少年セオ君の『感情』を取り…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嘗て世界がモノクロームだった頃
感情を喪った少年は鮮やかな世界を知り、色を喪った少女は豊かな心の動きを知る…
読み進めて道半ば、予期せぬ逆転の構図を目の当たりにします。ボーイ・ミーツ・ガールの序章とは裏腹に、凡百のそれとは著しく異なる少年と少女の冒険譚。安らかな語り口の陰に才気が迸る意欲作です。
その一方、韜晦も罠もなく、物語は何処迄も真っ直ぐで、主人公は何処迄も純粋です。彼と彼女に関わり、脇を固める登場人物も一途で、敵として現れた者も亦、単なる憎しみの塊には見えません。
救いがあり、優しさがあります。物語を貫くベースで、愛くるしい獅子丸に萌え、スイーツに舌嘗めずりします。穏やかで慈悲に溢れた世界です。
では、それ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!灰色の世界を『パステル』が彩る美しいファンタジー。
絵を描く私にとって『パステル』と聞けば、絵画ツール。
すっと引いて指でぼかせば、温かみのある柔らかな色を塗ることができる。
物語全体が、まるでパステルで描いたようにふんわりとカラフル。
なのにヒロインの『パステル』が見る世界は灰色で、色彩が無い。
美しい七色の髪にコンプレックスを持つ彼女は、お屋敷の中に引きこもっているのです。
そんな彼女の元に美貌の少年が突如舞い降りる。
そして彼には『感情』が無い。
パステルが視界から『色』を失ってしまった理由、彼—セオが『感情』を失ってしまった理由。
そこにはどうやら何か深い関わりがあるようで…。
謎めいた美しい少年、セオの正体は…?
パステ…続きを読む