その日、少女はすべてを奪われ、そして初めて、自分の中の炎に気づいた。
孤児として村に蔑まれながら生きていたアルヒは、理不尽な迫害を受ける中で突如として魔力に目覚める。
暴走する炎、怯える村人、焼ける土、そして、彼女を連れ去ったのは、謎多き魔導学院の学院長・カテギーダだった。
国によって保護され、唯一の魔導学院に入学することになったアルヒ。
彼女はまだ幼く、すべてが未知で、ただがむしゃらに学ぶことでしか自分を証明できない。
魔力制御、制限薬、そして数多の魔導書。制御不能な炎の魔力を宿しながらも、彼女は知識の海に潜り、正しさと自分の在り方を模索していく。
これは、名もなき魔女の少女が、自分という魔法の意味を探す物語。
炎が彼女を選んだ理由を、まだ誰も知らない。