概要
『白玉の昊』第二章「――俺、これから何のために生きりゃいいんだろうな」
瀛洲(えいしゅう)から出奔を果たした八咫(やあた)と食国(おすくに)は、本人たちの意志に関わらず引き離されることとなった。八咫は仙山(せんざん)、食国は白浪(はくろう)に属し、それぞれの立場から現朝廷である月朝の転覆、及び白玉の奪還に向けて動き出す事になる。新たな出会いは新たな嵐を呼び、二人は大きく変わってゆく。
一方、悟堂を失い失意の中にある熊掌(ゆうひ)は、父東馬と邑を人質に取られ、朝廷とそれに倣う方丈(ほうじょう)の長である四方津芙人に力付くで従わざるを得ない状態にその身を落としていた。湧き上がる憎悪と絶望の中、熊掌もまた朝廷を沈める為、密かに刃を研ぎ澄ます。そしてその右腕として、また半身として、命を賭し影で動く梶火(かじほ)もまた数奇な変遷をたどる事となり、二人の関係もまた大きく変わ
一方、悟堂を失い失意の中にある熊掌(ゆうひ)は、父東馬と邑を人質に取られ、朝廷とそれに倣う方丈(ほうじょう)の長である四方津芙人に力付くで従わざるを得ない状態にその身を落としていた。湧き上がる憎悪と絶望の中、熊掌もまた朝廷を沈める為、密かに刃を研ぎ澄ます。そしてその右腕として、また半身として、命を賭し影で動く梶火(かじほ)もまた数奇な変遷をたどる事となり、二人の関係もまた大きく変わ
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!果てが地獄でも、刃を研ぎ澄まし「今」を生きる人間の物語
序章から一転として外の世界の在り方が描かれる破章はそれぞれの地獄を描いていると感ずる。
それでも彼らは今を、地獄の最中を生きている。自分に出来ることを、と長い「今」を生きる姿は時に目を背けたくなるような残酷さもあるが、それでも抗い生きる姿の力強さが伝わる。
世界の姿が徐々にあらわになり、本来の姿を彼らが見出だしたとき、世界を壊すような強い想いを感じ取る。
言葉が世界を作り、時に音さえ感じる程の物語はまるで自分が登場人物の背後に立ち、見守っているかのような感覚を持つ。
例え地獄の淵にあろうとも、彼らは生を手放すことはない。
虎視眈々と刃を研ぐ果てにある物語はどこに向かうのだろう。
序章と同じく…続きを読む