概要
【第二部完結しました。第三部は2024年秋予定】
国一番の役者の娘である燦珠《さんじゅ》は、父に倣って国一番の華劇《ファジュ》の花旦《むすめやく》になるのが夢。けれど、女の芸はあくまで余興、男旦《おんながた》と同様に舞台に立つことは望めない。
「女が女を演じて何が悪いのよ!?」
拳を握る燦珠に、美貌の宦官・霜烈《そうれつ》は囁く。
「秘華園──後宮には女だけの戯班《げきだん》を養う一角がある。そこならばお前の望みも叶えられよう」
皇宮の最奥では、皇帝や妃嬪を慰めるべく選りすぐりの女役者が切磋琢磨しているのだという。無論、寵愛や権力争いにも深く関わる蠱毒の園でもあるのだが。
「歌って踊れるならどこでも良いわ! っていうか
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!燦珠が紡ぐ華やかで爽快な物語に読者も拍手喝采です!
とても面白かったです!最初から最後まで隙なく完成された作品でした。
国一番の役者の娘である燦珠(さんじゅ)は国一番の華劇(ふぁじゅ)の役者になるのが夢。そんな彼女はとある理由で「秘華園」という女の役者だけで構成された後宮の劇団に入ることになります。
まずこの燦珠が見ていて本当に気持ちの良いヒロインで、数話読んだだけで読者は皆彼女の虜になってしまうでしょう。裏表のない明るい性格で寝ても覚めても華劇のことばかりの燦珠は、後宮に入ったことにより突きつけられる無理難題や嫌がらせも華劇の実力で真っ向から跳ね返していきます。
彼女は決して切れ者というわけではないのですが、とにかく華劇が大好きで実力も本…続きを読む - ★★★ Excellent!!!中華・後宮・演劇。どの要素もこってり濃密でゴージャスな読み心地です!
主人公は演劇が好きな明るい少女。いろんなトラブルにあっても、演劇への情熱に支えられてパワフルに乗り切っていきます。昔、「ガラスの仮面」を読みながら手に汗握って北島マヤを応援していた気持ちを思い出しました。後宮の女だけの劇団で共に歩む少女たちは、斉木久美子さんの「かげきしょうじょ!!」の少女たちと同じく魅力的です!
この作品が凄いのは演者だけではなく、その舞台もです。
豪華絢爛な中華世界の描写が詳細で、とてもリアリティがあって本当にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。
そして演劇を志す主人公の外側で繰り広げられる後宮ならではの陰謀劇。次から次へとトラブルが起こりドキドキハラハラし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これは、読む演戯〈エンターテイメント〉!
国一番の役者の娘・燦珠は華やかさも実力も申し分なし。でも、舞台で舞うのは男が一般的というのが世間の常識。
そんな現状に不満を抱く燦珠の舞を観て、謎の美青年が告げます。
「後宮にある女だけの戯班(げきだん)で舞わないか」と――。
中華をベースにした後宮物……文字にするとそうなのですが、この物語は宝塚的な劇団をテーマにしていて、歌あり踊りありととにかく華やか!
物語のテンポもとてもよく、しかも次々と気になる事件が起こるので先が気になって仕方がありません。
後宮には渦巻くドロドロとした問題やきな臭い陰謀などが盛りだくさん。それでも主人公は持ち前の明るさとポジティブさ、そして舞と踊りで、闇をはら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これを読まないなんてもったいない!皆に届け!燦珠の笑顔…と霜烈の美貌♡
中華もので後宮舞台の、でもちょっとめずらしい華劇(ファジュ)が題材のお話。
最初に拝見したとき、慣れない中華の漢字の名前や単語に尻込みしてしまったのですが、1章を読み終える頃には不思議とスルスル読めている自分に気付きました。それくらい、何の違和感も苦手意識もなくスルッと頭に入ってくる。
荒っぽいこと言えば多少漢字を読み間違えちゃっても、ルビがなくて名前のよみがわからなくっても、字を見ればなんとなくわかる!だからこれ誰?とかならない!
ストーリー的なことに触れれば、ヒロイン燦珠(さんじゅ)が女の役を演じる踊り手として、女だけで作られた後宮の戯班(げきだん)に入ることになるのですが、この時に行…続きを読む - ★★★ Excellent!!!もっと早く読めば良かった!没入できる華劇ファンタジー
面白いという噂はかねがね。でもなかなか読みに着手できなかったのは、中華という題材だったから。漢字が多そうだし、役職名や人名が覚えられる気がしない。後宮の話ともなれば組織の構造も複雑だろうと。だから今まで全く触れてこなかったジャンルだったのですが……これがするすると読める!
ルビが秀逸で、テンポも世界観も壊さない。難しい漢字や中国語要素も、全く引っかかりにならないのです。人名も、読んでるうちに名は体を表すを地でいくように、名前とキャラがしっかり合致。この人誰だっけ? と、ならないんですよ、登場人物が多いのに。
こんな風につまづく要素が完全に排除されているので、物語に入りこめる。
そし…続きを読む - ★★★ Excellent!!!絶佳、ここに極まれり。
――さあて、読了してしばらく経ったのでようやくレビューを書かせていただくべく参上いたしましたが。
氏の作品が優れている事は、僕が語るまでもなく既に当然の事として。
筆力、全体構成力、キャラクターの造形と配置バランス、何もかもが完璧です。
徹頭徹尾、快感と高揚の内に終幕まで導かれるという、恐ろしい程の完成度の作品です。最早いう事なし。
物語にもキャラクターにも存分沼らせていただいた。
なので、ここからは蛇足です。
本作の更に強いのは、商品化した先をきっちりと見据えている、または見据えさせる事ができるという部分にあると思います。
描かれているのは絵空事や夢ではありません。確実にビジ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!梅香、燦燦と珠のように香る
後宮が舞台ときいてドロドロした女の争いが延々と続くのかなと思っていましたがそんなことはなく、主人公燦珠の圧倒的な光にドロドロした空気も吹き飛んでしまいました。長引かせるならもっと燦珠の苦労パート、成長パートのような部分が多く挟まったかもしれませんがこの話数だからこそスッキリ爽快とした読後感だったと思います。読んでてくどいと感じることなくさくさくと、それでいてドキドキしながら物語を堪能することができました。また燦珠だけでなく魅力的なサブキャラたちも作品を彩ります。いや、もはや誰もが主人公と言っても良いでしょう。誰か一人の物語ではない、全ての登場人物の物語です。駆け足がちになりがちな最後もゆった…続きを読む