とても面白かったです!最初から最後まで隙なく完成された作品でした。
国一番の役者の娘である燦珠(さんじゅ)は国一番の華劇(ふぁじゅ)の役者になるのが夢。そんな彼女はとある理由で「秘華園」という女の役者だけで構成された後宮の劇団に入ることになります。
まずこの燦珠が見ていて本当に気持ちの良いヒロインで、数話読んだだけで読者は皆彼女の虜になってしまうでしょう。裏表のない明るい性格で寝ても覚めても華劇のことばかりの燦珠は、後宮に入ったことにより突きつけられる無理難題や嫌がらせも華劇の実力で真っ向から跳ね返していきます。
彼女は決して切れ者というわけではないのですが、とにかく華劇が大好きで実力も本物。細かい策を練ったり人を出し抜いたりするのではなく、自身の華劇の実力だけで人の心を動かしていきます。
物語の進行に連れて次々に困難が発生しますが、この子なら何とかしてくれるという安心感があるのでつまずくことなくどんどん先を読んでしまいます。
歌劇をテーマにしているだけあって舞台の描写はピカ一。まるで目の前で舞台を見ているかのように鮮やかで華やかな景色が読者の脳内で広がります。
また、美貌の宦官である霜烈や男装の麗人である星晶、皇帝の最愛の寵姫であり、燦珠の大きな味方である沈昭儀などサブキャラにも個性的な魅力があり、誰もが物語に必要な存在であることも本作の大きな魅力の一つでしょう。
華劇嫌いの皇帝、後宮に根付く収賄、偽の皇帝の存在など解決しなければならない問題はたくさんあるのですが、どの問題も余すことなく収まるところに収まったラストも必見。物語の畳み方が素晴らしく、文句なしの大団円に、読者も思わず拍手喝采を送りたくなります。
とにかくエンタメ要素をこれでもか!と詰め込んだ読み応えのある物語。これが書店に並んでいないのは信じられない!と思うくらいに完成度が高く、万人におすすめできる作品です。
主人公は演劇が好きな明るい少女。いろんなトラブルにあっても、演劇への情熱に支えられてパワフルに乗り切っていきます。昔、「ガラスの仮面」を読みながら手に汗握って北島マヤを応援していた気持ちを思い出しました。後宮の女だけの劇団で共に歩む少女たちは、斉木久美子さんの「かげきしょうじょ!!」の少女たちと同じく魅力的です!
この作品が凄いのは演者だけではなく、その舞台もです。
豪華絢爛な中華世界の描写が詳細で、とてもリアリティがあって本当にタイムスリップしたかのような気持ちになりました。
そして演劇を志す主人公の外側で繰り広げられる後宮ならではの陰謀劇。次から次へとトラブルが起こりドキドキハラハラしますが、それが終盤でひとまとまりの全容が明らかとなり「そういうことかー!」と納得がいってスッキリ! 作者様は、構成をしっかり練られたうえで執筆にとりかかられたのだと感じ入ります。
8月1日執筆再開というお知らせで改めて読み始めたのですが、この4日で第一部を一気読みしてしまいましたw
グイグイ引き込まれる中華風ファンタジー。夏休みの読書にぜひ!
国一番の役者の娘・燦珠は華やかさも実力も申し分なし。でも、舞台で舞うのは男が一般的というのが世間の常識。
そんな現状に不満を抱く燦珠の舞を観て、謎の美青年が告げます。
「後宮にある女だけの戯班(げきだん)で舞わないか」と――。
中華をベースにした後宮物……文字にするとそうなのですが、この物語は宝塚的な劇団をテーマにしていて、歌あり踊りありととにかく華やか!
物語のテンポもとてもよく、しかも次々と気になる事件が起こるので先が気になって仕方がありません。
後宮には渦巻くドロドロとした問題やきな臭い陰謀などが盛りだくさん。それでも主人公は持ち前の明るさとポジティブさ、そして舞と踊りで、闇をはらう光の如く気持ちよく問題にぶつかっていきます。
主人公にも引けをとらない癖のある登場人物たちも魅力のひとつ。
さらに、思わず息を止めてしまうほどの迫真の舞台シーンの数々や、数年前に亡くなったとされる幼き皇子の謎、息もつかせぬ展開の数々…ここに挙げきれないほど魅力がたくさん詰まっています。
とにかく、まずは1話目を覗いてみてください。
燦珠のきらきらしい演技があなたを出迎えてくれることでしょう。
さらにそれを凌駕する歌と踊りがその先にも満載。
ぜひあなたの目で綺羅演戯を体感してください!
中華もので後宮舞台の、でもちょっとめずらしい華劇(ファジュ)が題材のお話。
最初に拝見したとき、慣れない中華の漢字の名前や単語に尻込みしてしまったのですが、1章を読み終える頃には不思議とスルスル読めている自分に気付きました。それくらい、何の違和感も苦手意識もなくスルッと頭に入ってくる。
荒っぽいこと言えば多少漢字を読み間違えちゃっても、ルビがなくて名前のよみがわからなくっても、字を見ればなんとなくわかる!だからこれ誰?とかならない!
ストーリー的なことに触れれば、ヒロイン燦珠(さんじゅ)が女の役を演じる踊り手として、女だけで作られた後宮の戯班(げきだん)に入ることになるのですが、この時に行われる試験のところまで読み進めていたら、もうきっとあなたはこの物語から抜け出すことはできません(笑)
あれよあれよという間にページを捲る捲る!それくらいにぐいぐいと引き込む魅力と面白さがこのお話にはあります。まるで元気で明るいヒロインの燦珠のように。
後宮のドロドロした勢力争いなんかも関わってきて、面白さに歯止めがかからないので、夜更かしにはご注意を。
燦珠も嫌味のない明るいヒロインなので、読んでるだけでこっちが元気になるくらい。ずっと応援したくなる!
あとイケメン好きの私としては、やはり霜烈(そうれつ)さんが大好きです!!好きすぎる!!
本編最終話の、とってもかわいらしい霜烈さんをぜひ見て欲しいです(੭ु꒪꒫꒪)੭ु⁾⁾
面白いという噂はかねがね。でもなかなか読みに着手できなかったのは、中華という題材だったから。漢字が多そうだし、役職名や人名が覚えられる気がしない。後宮の話ともなれば組織の構造も複雑だろうと。だから今まで全く触れてこなかったジャンルだったのですが……これがするすると読める!
ルビが秀逸で、テンポも世界観も壊さない。難しい漢字や中国語要素も、全く引っかかりにならないのです。人名も、読んでるうちに名は体を表すを地でいくように、名前とキャラがしっかり合致。この人誰だっけ? と、ならないんですよ、登場人物が多いのに。
こんな風につまづく要素が完全に排除されているので、物語に入りこめる。
そしてこの話が面白いんだ……!
女同士の争いのドロドロしたところだとか、権力闘争、ライバルの存在諸々と、そのままだと気が滅入るようなエピソードが、面白さに昇華されており。
そして特筆すべきは主人公の燦珠(さんじゅ)。名前が表すように、日差しがさんさんと輝くような、明るい女の子。歌って踊れればそれでいい。この子の性格がとにかく気持ちよくて、応援したい! そして何があってもぶれない安心感。
性別を問わず読んで楽しめるエンターテインメント。読まずにおくのは勿体ない作品。おすすめです!
――さあて、読了してしばらく経ったのでようやくレビューを書かせていただくべく参上いたしましたが。
氏の作品が優れている事は、僕が語るまでもなく既に当然の事として。
筆力、全体構成力、キャラクターの造形と配置バランス、何もかもが完璧です。
徹頭徹尾、快感と高揚の内に終幕まで導かれるという、恐ろしい程の完成度の作品です。最早いう事なし。
物語にもキャラクターにも存分沼らせていただいた。
なので、ここからは蛇足です。
本作の更に強いのは、商品化した先をきっちりと見据えている、または見据えさせる事ができるという部分にあると思います。
描かれているのは絵空事や夢ではありません。確実にビジネスモデルとして成功するだろうという確信を与えるビジョンがある。
かなりの野心作であると僕は見ました。
そしてこれを拾わないのは愚であるとも。
書籍化、コミカライズ、この先は舞台化を経て、大陸本土でのドラマ化というのもあり得る。そういう想像を掻き立ててくる。
いや、悔しい限りだ。上手すぎる。
この先僕にできる事といったら、ありったけの貯金をはたいて追いかけるくらいのことだろう。
星晶。きみのためなら財政破綻してもいい。
後宮が舞台ときいてドロドロした女の争いが延々と続くのかなと思っていましたがそんなことはなく、主人公燦珠の圧倒的な光にドロドロした空気も吹き飛んでしまいました。長引かせるならもっと燦珠の苦労パート、成長パートのような部分が多く挟まったかもしれませんがこの話数だからこそスッキリ爽快とした読後感だったと思います。読んでてくどいと感じることなくさくさくと、それでいてドキドキしながら物語を堪能することができました。また燦珠だけでなく魅力的なサブキャラたちも作品を彩ります。いや、もはや誰もが主人公と言っても良いでしょう。誰か一人の物語ではない、全ての登場人物の物語です。駆け足がちになりがちな最後もゆったりとペースを崩さない語りになっていたのも好感が持てました。
子供の頃から国一番の役者の父や兄弟子たちの芸を間近に見て育ち、その薫陶を受けた燦珠(さんじゅ)はとにかく舞台に立ちたくて仕方がない様子。
大道芸の如く道端で舞を披露して、道ゆく人々の注目を集めるのですが、父親に見つかってしまい大目玉。ところが二人の丁々発止のやりとりが後宮の宦官の目に留まり、何と皇宮の奥深くにあるという華劇団「秘華園」の採用試験に挑むことに。
後宮という女の園ではもちろん権謀術数も渦巻いている上に、何より皇帝が華劇嫌いだという前途多難ぶり。
ところが燦珠の心は挫けるどころか、華劇の良さをわからせてやる!! と一層奮起してしまうのです。
とにかく華劇への情熱に溢れ、持ち前の明るさと聡明さ、そして何より天賦の舞踊の才と努力であらゆることをパワフルに吹き飛ばしていくその姿は、好きにならずにはいられません。
脇を固める美しい貴賓の妃の方々や、ライバルとなりそうな娘たち、さらには目の裏に浮かぶような美しい舞踊のシーンなど見どころも盛り沢山。
ルビ多めの中華風世界に最初は少し戸惑うかもしれませんが、ぜひ彼女の舞踊シーンを堪能し、どう道を切り開いていくのか見届けていきたい一作です。
国一番の役者の娘が後宮に入り、皇帝お抱えの劇団員として活躍する物語です!
華劇において女の芸は重視されず、いつも注目されるのは男の芸ばかり。
しかし主人公である娘は女の身でありながらも、華劇で国一番の役者になろうと志す。
そんなとき、彼女は後宮に女だけの劇団が存在すると知り、後宮入りを決意するのです。
後宮×劇。見たことこそないものの、素敵な組み合わせだと感じました。
さらには、その設定を存分に活かす文章力もさることながら、ぐいぐいと読者を惹き込むストーリーに個性のある登場人物たちが物語を鮮やかに彩ります。
登場人物同士の掛け合いや主人公の性格も馴染みやすく、漢字が多めの重い作品が苦手な方でも楽しめるでしょう。
「酒を召し上がる、浮かない顔の君主。その憂いを歌と舞で晴らしましょう」※ひとこと紹介文の和訳です。
京劇『霸王别姬』に登場するかの虞美人も、自らが仕える君主に舞を捧げたといいます。
果たして、主人公は華劇嫌いの皇帝に熱意を届けられるのか……気になるところです!
中華後宮ものといえば、豪華絢爛でドラマティックで素敵だけれど、小説で読むには難しい漢字が多くてちょっと躊躇してしまう……なんて方もいらっしゃるのでは?
少し取っつきにくいな、と思われた方もご安心あれ。
この作品は、絶妙なルビ振りと、なにより明るく前向きな主人公、燦珠にグイグイ引っ張られるように、次から次へと読まされてしまいます。
そして、確かな知識と文章力で書かれた物語のおかげで、燦珠が舞う姿を鮮やかに脳内に浮かべることができるでしょう。
今、ちょうど二章が終わったところです。あとがきによると、ここからまたキャラが増えたり、後宮ものにはなくてはならない陰謀のお話にも突っ込んでいく模様。
読み始めるなら今ではないかと思います。
私も今後が楽しみです。