寵愛になんて興味ない!寝所に呼ばれるくらいなら、踊りの練習がしたい!?

 子供の頃から国一番の役者の父や兄弟子たちの芸を間近に見て育ち、その薫陶を受けた燦珠(さんじゅ)はとにかく舞台に立ちたくて仕方がない様子。

 大道芸の如く道端で舞を披露して、道ゆく人々の注目を集めるのですが、父親に見つかってしまい大目玉。ところが二人の丁々発止のやりとりが後宮の宦官の目に留まり、何と皇宮の奥深くにあるという華劇団「秘華園」の採用試験に挑むことに。

 後宮という女の園ではもちろん権謀術数も渦巻いている上に、何より皇帝が華劇嫌いだという前途多難ぶり。
 ところが燦珠の心は挫けるどころか、華劇の良さをわからせてやる!! と一層奮起してしまうのです。

 とにかく華劇への情熱に溢れ、持ち前の明るさと聡明さ、そして何より天賦の舞踊の才と努力であらゆることをパワフルに吹き飛ばしていくその姿は、好きにならずにはいられません。

 脇を固める美しい貴賓の妃の方々や、ライバルとなりそうな娘たち、さらには目の裏に浮かぶような美しい舞踊のシーンなど見どころも盛り沢山。

 ルビ多めの中華風世界に最初は少し戸惑うかもしれませんが、ぜひ彼女の舞踊シーンを堪能し、どう道を切り開いていくのか見届けていきたい一作です。

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