クソでか感情に飲み込まれる

この物語、もの凄く面白いです。
まず、中華もので厄介な『この子の名前が読めないからストレス問題』が毎話ルビで解消されているので、登場人物が心にスルッと入ってきてくれます。
もちろん主要な建物や行事名なども、わかりやすいルビがある親切設計です。
中華ものは漢字が多くて難しそう、という方へも届いて欲しい。
何故なら一行目で書いた通り、もの凄く面白いから。

作者様に失礼を承知でストーリーを簡単に説明すると、とにかく前向きで脳内は歌と踊りでいっぱいのヒロイン燦珠(さんじゅ)が、陰謀渦巻くドロドロ女の園で、『知るか!歌って踊って大暴れ!』なお話です。(作者様ごめんなさい)

個性豊かな美しい娘役者たちが出て来て、燦珠(さんじゅ)と競ったり、肩を並べて練習し励まし合う様は、仄かに青春スポ根味があって胸アツです。でも美少女たちだから汗臭くない。ひたすら美しく愛らしい。みんなまとめて推せる。
推しの名前が光る団扇や、ペンライトを振って応援したくなります。

わたしの1番の推しは喜燕(きえん)ちゃん!!
この子……不遇な役でどんよりと登場するんですが、どんどんヒロインの光に浄化されていく―――からの、そうは問屋が卸さない的にめっちゃ不遇。でもいぢらしくがんばる……という過程がもう最高にいいです。
(番外編で報われます!厚手のハンカチ必須です!!!!)


物語の中にも激推しの役者を持つ貴妃がいます。この設定がすごい面白い。
彼女の推しへのなりふり構わぬ言動に「わっっかる……!!」と、やっぱり胸アツになる事間違いなし。

急に読んでいない物語の推しとか熱く語られても……と思っているあなたも、すぐにわたしと同じになります。早くこっちへおいで……。楽しいよ……。

文章・表現も素晴らしいです。
変な事を言いますが、読んでいると文字じゃなくなります。
光・風・花びらの揺らぎ、その影、神々しい鳥たちを演じる娘役者たちが、優美に視界(脳内?)いっぱいに舞い踊り、芸事の極みが放つ閃光を鮮やかに、軽やかに見せてくれます。

喜怒哀楽、才能の輝き、憧れ、人間の心の美しさ・醜さ、自尊心のあり方、同志への敬意……書き切れないほどの素晴らしい事が、魅力的なストーリーの中で描かれています。
最高の物語です。一話目からわくわくして楽しいので、是非読んでみてください。
そしてこのお話へ感想たくさんください。
推し作品の感想欄は最高ですから!!!

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