真に可愛いヒロインは、首がなくてもかわいいのだ!

『首なし魔女』と聞くと不穏な物語のように感じますが、このお話は少女のころに夢見たような、ファンタジックな世界観と朗らかな愛されヒロインにワクワクほっこりさせてもらえる愛らしさ満点の恋物語です。

ファンタジー好きなら夢中になってしまう世界観だと思います。
首なし魔女のネリーはもちろん、彼女の周りに散りばめられた不思議でユニークな道具や食べ物や動物に、序盤だけで胸が躍りました。

そして、ヒロインの魔女ネリーがとにかくかわいいです。
首がないのにかわいいと思わされる不思議な感覚が読んでいて楽しい。
かわいいとはこういう事だと言いたくなります。
ネリーは首がないので、ふわふわと煙で喋るのですが、そこが特に見所です。
感情に合わせた煙の表現も様々で、元々感情豊かでかわいい発言をするネリーなのですが、この煙で彼女の気持ちがより鮮明に読者に伝わってくるところがとても素敵です。

ネリーの恋のお相手も訳あって鎧兜を取れません。
「おいおいお互い顔が見れなくてどうやって恋に落ちるん?」と心配になってしまいますが、全然心配なしでした。
お互い顔が見れない、から始まる恋。……なんか萌えませんか。
ヒロインもヒーローも底抜けに善良で、お互い自分に出来るコミュニケーションで相手を思いやりながら徐々に心を近づけていきます。その過程の安定のホッコリ具合に癒やされまくります。
けれど、ただ甘く温かい物語というわけでもなく、物語の舞台には人間と魔女の悲しい確執が秘められていたりと試練も待っていて、ハラハラもさせてくれます。
前向きで明るく愛らしい、ともすれば完全無欠ヒロイン(首がないけど)のようなネリーですが、心の奥底には誰にも見せない痛みを抱えています。
ふいに見せられた彼女の隠された弱みに、たまらなく愛しさを感じました。

ネリーはえらい……腐らずに、向かい合った者に対して、心を開き愛していく。
ストーリーを楽しませていただいた他に、数ある「愛されるためにはどう生きたらいいか」のお手本のひとつをネリーに見せてもらった気分になりました。

夢と魔法とあたたかな愛に浸りたい方、心を浄化したい方にお勧めです!

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