燦珠が紡ぐ華やかで爽快な物語に読者も拍手喝采です!
- ★★★ Excellent!!!
とても面白かったです!最初から最後まで隙なく完成された作品でした。
国一番の役者の娘である燦珠(さんじゅ)は国一番の華劇(ふぁじゅ)の役者になるのが夢。そんな彼女はとある理由で「秘華園」という女の役者だけで構成された後宮の劇団に入ることになります。
まずこの燦珠が見ていて本当に気持ちの良いヒロインで、数話読んだだけで読者は皆彼女の虜になってしまうでしょう。裏表のない明るい性格で寝ても覚めても華劇のことばかりの燦珠は、後宮に入ったことにより突きつけられる無理難題や嫌がらせも華劇の実力で真っ向から跳ね返していきます。
彼女は決して切れ者というわけではないのですが、とにかく華劇が大好きで実力も本物。細かい策を練ったり人を出し抜いたりするのではなく、自身の華劇の実力だけで人の心を動かしていきます。
物語の進行に連れて次々に困難が発生しますが、この子なら何とかしてくれるという安心感があるのでつまずくことなくどんどん先を読んでしまいます。
歌劇をテーマにしているだけあって舞台の描写はピカ一。まるで目の前で舞台を見ているかのように鮮やかで華やかな景色が読者の脳内で広がります。
また、美貌の宦官である霜烈や男装の麗人である星晶、皇帝の最愛の寵姫であり、燦珠の大きな味方である沈昭儀などサブキャラにも個性的な魅力があり、誰もが物語に必要な存在であることも本作の大きな魅力の一つでしょう。
華劇嫌いの皇帝、後宮に根付く収賄、偽の皇帝の存在など解決しなければならない問題はたくさんあるのですが、どの問題も余すことなく収まるところに収まったラストも必見。物語の畳み方が素晴らしく、文句なしの大団円に、読者も思わず拍手喝采を送りたくなります。
とにかくエンタメ要素をこれでもか!と詰め込んだ読み応えのある物語。これが書店に並んでいないのは信じられない!と思うくらいに完成度が高く、万人におすすめできる作品です。