概要
ある夜、ナイツは殺しの仕事を終えた後、暴漢に襲われていた女性を助ける。ナイツに助けられた女子大学生のサンは、お礼と称して後日にナイツの家を訪れた。
ナイツはサンが何か自分に近づく目的があるのではないかと疑ったが、それ以後ナイツとサンの奇妙な交友が始まった。
ナイツは殺し屋として、借金を負ったチンピラ、自分を殺すように依頼してきた少女漫画家などを殺害する依頼をこなしていた。
その仕事の間にサンはナイツを買い物に誘ったり、料理を作ったりなどしてナイツとの距離を縮めようとする。
ある日、一人でいたサンが殺し屋に狙われている場
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- ★★★ Excellent!!!巧みな語り口で誘われる、ある殺し屋の独白、その他。
生きるために〈殺すこと〉を選んだ殺し屋・ナイツは、そのために常に虚ろなものを抱え、読書と喫茶を好む孤独な暮らしをしていた。
舞台は現実に近い、ただし異能者が存在し、暗躍する世界。
ナイツが殺し屋として常に剣の刃を渡るような生をつないでいる町。そこでの現実を描く端正な文体と語り口が巧みで、少しずつ引き込まれていく。
また、「襯衣(シャツ)」、「木卓(テーブル)」、「閨秀作家(けいしゅうさっか)」等々、選ばれる単語も〈少し違う世界〉のディディールを支える効果となっている。
ナイツが人を殺すのも〈他人の思惑〉、ナイツが孤立しているのも〈他人の思惑〉。その中で彼がある想いのために変わっていく。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人を殺した。誰かのために、生きていけるのだろうか。
あらすじは割愛する。
この作品は、殺し屋ナイツと彼と関わる女子大生サン、そして一風変わった殺人動機をもつ依頼者たちの物語でまとめられている。
小説で描かれる殺し屋、と一口に言ってもその種類が多様であることはご存知であろう。
暴虐な殺人快楽者がそうなることがあれば、それ以外に生きる道がなかった哀れな青年ともあろうか。
この主人公であるナイツは、どちらかといえば後者にあたる存在だ。
だが、読者が惹かれるのは「哀れな殺し屋」ではない。
このナイツ、彼の殺し屋としての腕前は確かであるが、それ以上に読者が心惹かれるのは彼の細やかな心情と葛藤、そして誰よりも人間味あふれるその性格にあると思う。…続きを読む - ★★★ Excellent!!!「叡智」授かりし故の受難、殺し屋は朝日を見るか
「殺し屋ナイツ」その名の通り、主人公ナイツは殺し屋です。
しかしそれは残酷に充てがわれた運命的なものであり、自らの意思によるものではなく、彼は「仕事」の後いつも自己嫌悪と罪悪感に苛まされます。
そんな生活を続ける中、ナイツは女学生、サンに出会い偶然に助けます。
サンはその名のように太陽のような明るさでナイツの私生活にもぐいぐいと踏み入り、そしていつしかナイツの心に変化が生まれるのですが――
ハードボイルドによくある義賊的で自由な立ち振る舞いではありません。
序盤の章では、人の終わり、その幕引きを自らの手で行う苦難に立ち合い、心を引き裂かれそうにかもしれません。それでも、だからこそ、見届け…続きを読む - ★★★ Excellent!!!殺し屋は、夜の貌
読書好きの青年ナイツ。彼の仕事は殺し屋。いっけん大人しそうな彼は、ある事件により殺し屋にならざるを得なかった心優しき殺人マシーンである。
ある夜、彼は暴漢に絡まれていた少女サンを助ける。その日より、天真爛漫なサンに付きまとわれることになるナイツ。
最初は迷惑がっていたナイツだが、やがて彼にとって彼女はなくてはならない存在になり……。
物語の舞台は現代ではあるが、架空の都市、架空の世界。その世界には<叡智>と呼ばれる異能をもっ人間が存在する。<夜の沈黙>という叡智をもつナイツは、その力を駆使して、静かに、そして確実に標的を仕留めて行く。
つらい過去から殺し屋になった心優しき青年…続きを読む - ★★★ Excellent!!!殺し屋と女子大生が紡ぎ出す、静かで優しい物語。
殺し屋のナイツと女子大生のサン。
対極の存在である2人が少しずつかけがえのない存在になっていく展開は目が離せません。
2人の間には常に落ち着いた静寂の空気が流れています。
一緒に本を読んだり、食事をしたり。何気ない日常を2人で過ごすだけなのですが、それが読んでいてとても心地よかったです。
殺しという「非日常」が当たり前になっている世界設定のせいで2人の「日常」がより、輝かしく見えたのだと思います。
恋模様は穏やかですが、ストーリーやアクションシーンは大きな動きを感じることができます。
〈叡智〉と呼ばれる異能を駆使して繰り広げられるバトルは必見です!
もっと色んな〈叡智〉が見てみたいなと思い…続きを読む