殺し屋ナイツの受難

作者 小語

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★★★ Excellent!!!

青春ドタバタラブコメディ、
とはもちろん違うのだけれどこの殺し屋達が織り成す物語は、
確かにボーイミーツガールであり、
登場人物の関係性が物凄くドラマチックで素晴らしいです。
殺し屋、という物騒な職業の主人公ですが大切な人の為に命懸けで戦い抜くという直球なヒロイックさがあって、めちゃくちゃ良いんですよ。

能力バトル、銃撃戦……戦闘シーンにおける描写は巧みかつ丁寧で、
読んでいて頭にそのまま想像出来るわかりやすさ。

店頭に並んでそうな完成度、読み応えありです。

★★★ Excellent!!!

殺し屋をしている主人公。殺し屋と聞けば冷酷なイメージがありますが、この小説の主人公は生きる為に仕方ないとはいえ、人を殺す事に罪悪感を抱いています。
しかし、拒否すれば次に殺されるのは自分です。
仕事だからと割り切れずに任務を遂行する主人公に感情移入して、何とかしてあげたくなりました。

話中の何気ないひとコマにも作者さんの工夫が凝らされていて、登場人物の心境がよく伝わってきました。

そしてある少女と出会い親しくなった事で、少しずつ心境が変化していくのですが、まだ読んでいる途中なので、彼女の存在が主人公の救いとなってくれるのか、気になります。

★★★ Excellent!!!

生きるために〈殺すこと〉を選んだ殺し屋・ナイツは、そのために常に虚ろなものを抱え、読書と喫茶を好む孤独な暮らしをしていた。

舞台は現実に近い、ただし異能者が存在し、暗躍する世界。

ナイツが殺し屋として常に剣の刃を渡るような生をつないでいる町。そこでの現実を描く端正な文体と語り口が巧みで、少しずつ引き込まれていく。
また、「襯衣(シャツ)」、「木卓(テーブル)」、「閨秀作家(けいしゅうさっか)」等々、選ばれる単語も〈少し違う世界〉のディディールを支える効果となっている。

ナイツが人を殺すのも〈他人の思惑〉、ナイツが孤立しているのも〈他人の思惑〉。その中で彼がある想いのために変わっていく。

とにかく命のやり取りという即物的な結果を生んでいるのは、ここではそもそも〈人間の心〉。

その心が織りなす繊細な人間関係の部分も読みごたえがあり、血なまぐさい場面なのにどこか乾いている。独特の世界観を楽しみつつ、ナイツの選んだ結末をどうぞ見届けてください。

★★★ Excellent!!!

あらすじは割愛する。

この作品は、殺し屋ナイツと彼と関わる女子大生サン、そして一風変わった殺人動機をもつ依頼者たちの物語でまとめられている。

小説で描かれる殺し屋、と一口に言ってもその種類が多様であることはご存知であろう。
暴虐な殺人快楽者がそうなることがあれば、それ以外に生きる道がなかった哀れな青年ともあろうか。

この主人公であるナイツは、どちらかといえば後者にあたる存在だ。

だが、読者が惹かれるのは「哀れな殺し屋」ではない。

このナイツ、彼の殺し屋としての腕前は確かであるが、それ以上に読者が心惹かれるのは彼の細やかな心情と葛藤、そして誰よりも人間味あふれるその性格にあると思う。

「生と死」について「死」を仕掛ける側でありながら「生」に対して誰よりも情があふれる彼だからこそ、読者は心惹かれ、感動し、引き込まれてゆく。

没入感も、全体の話の構成も、どこをとっても魅力の欠くことのない作品です。

ぜひ、ご一読を。


追記。
ただいま、すべて読んできました。

ひとこと紹介文では「誰かのために、生きていけるだろうか」としましたが、必ずこの話の最後ですべてが腑に落ち、二人を愛おしく思っているに違いないと思います。

生きていること。
誰か、とともに。

他者を殺し、己の生命を護っているナイツであるから、たどりつけるその答えに、ぜひ注目してほしいと思います。

★★★ Excellent!!!

殺し屋になるしかなかった青年が、ある一人の女性と出会ったことで心を癒されていく。
殺し屋を題材にしていながらも、温かさや優しさを感じられる物語です。

舞台はユウツゲと呼ばれる都市。ここでとある人物に雇われ殺し屋をしていたナイツは、ある日の仕事の帰り道、暴漢に襲われている女子大生サンを成り行きで助けます。
後日、何故かお礼だと言ってナイツの家まで押しかけてきたサン。
この日から二人の奇妙な関係が始まります。

あらすじにもありますが、ナイツは望んで殺し屋になったわけではありません。自分が生きるため、仕方なくその道を選んだのです。彼は「仕事」をするたびに苦しみ酒に溺れ、心をすり減らす日々を送っていました。

そんな彼が明るいサンとの会話や日常に癒されていく様子が、この物語では丁寧に描かれています。

冷たく緊張感漂う戦闘シーンとの対比で、読者にとってもほっと息をつける場面になっています。一緒にお茶をしたり、本について話をしたり。
この日々がいつまでも続けばいいなと、そう願ってしまいます。
 
しかしそれでも彼は殺し屋です。彼の意思とは関係なく「仕事」は舞い込んできますし、物語は次第にサンの持つ秘密にも迫っていきます。

それを知った時、ナイツはどうするのか。二人の関係はどうなってしまうのか。

是非最後まで見届けて下さい。

★★★ Excellent!!!

「殺し屋ナイツ」その名の通り、主人公ナイツは殺し屋です。

しかしそれは残酷に充てがわれた運命的なものであり、自らの意思によるものではなく、彼は「仕事」の後いつも自己嫌悪と罪悪感に苛まされます。
そんな生活を続ける中、ナイツは女学生、サンに出会い偶然に助けます。
サンはその名のように太陽のような明るさでナイツの私生活にもぐいぐいと踏み入り、そしていつしかナイツの心に変化が生まれるのですが――

ハードボイルドによくある義賊的で自由な立ち振る舞いではありません。
序盤の章では、人の終わり、その幕引きを自らの手で行う苦難に立ち合い、心を引き裂かれそうにかもしれません。それでも、だからこそ、見届けてほしいです。
加速していく「叡智」と呼ばれる異能力同士の臨場感溢れる戦い、組織の思惑、ナイツが「夜の沈黙」となった過去、サンの謎と関係の変化……
出会いからその結末まで、きっとナイツが感じたように一瞬で、でも変え難い出会いと経験が刻まれるでしょう。ぜひお手に取ってご覧ください!
 

★★★ Excellent!!!


 読書好きの青年ナイツ。彼の仕事は殺し屋。いっけん大人しそうな彼は、ある事件により殺し屋にならざるを得なかった心優しき殺人マシーンである。
 ある夜、彼は暴漢に絡まれていた少女サンを助ける。その日より、天真爛漫なサンに付きまとわれることになるナイツ。
 最初は迷惑がっていたナイツだが、やがて彼にとって彼女はなくてはならない存在になり……。

 物語の舞台は現代ではあるが、架空の都市、架空の世界。その世界には<叡智>と呼ばれる異能をもっ人間が存在する。<夜の沈黙>という叡智をもつナイツは、その力を駆使して、静かに、そして確実に標的を仕留めて行く。

 つらい過去から殺し屋になった心優しき青年と、天真爛漫ではあるがその裏に秘密をもつ少女の邂逅とふれあい。そこに<叡智>を駆使した殺し屋同士のバトルがフル装填されています。
 悩み、傷つきながらも殺しを続けるナイツは、本当に大切なものを見つけることが出来るのか? そして、やっと手に入れたもっとも大切なものを守り切ることが出来るのか?

 優しい心をもつ殺人者の、夜と昼の物語。その結末は、どうぞ読んでお確かめください。

★★★ Excellent!!!

殺し屋のナイツと女子大生のサン。
対極の存在である2人が少しずつかけがえのない存在になっていく展開は目が離せません。
2人の間には常に落ち着いた静寂の空気が流れています。
一緒に本を読んだり、食事をしたり。何気ない日常を2人で過ごすだけなのですが、それが読んでいてとても心地よかったです。
殺しという「非日常」が当たり前になっている世界設定のせいで2人の「日常」がより、輝かしく見えたのだと思います。

恋模様は穏やかですが、ストーリーやアクションシーンは大きな動きを感じることができます。
〈叡智〉と呼ばれる異能を駆使して繰り広げられるバトルは必見です!
もっと色んな〈叡智〉が見てみたいなと思いました。

思わぬ人間関係の繋がり、展開があるので最後まで楽しんで読むことができます。
敵味方の関係性が変わっていくのも読んでいて面白かったです。

★★★ Excellent!!!

異能を持つ殺し屋ナイツが女子大生のサンと出会い、成長していく物語です。

主人公のナイツは凄惨な過去を持ち、やむを得ず殺し屋になった背景がある為、本当は殺人をしたくありません。けれども彼には殺し屋を続けなければならない事情があります。
毎回暗殺をする度に彼は酒に溺れ、遺されたターゲットの家族のことを思って涙します。殺し屋の世界は孤独で、いつ自分も暗殺されるかわからない世界。世界観と主人公のバックグラウンドがよく練られている為、読者はナイツに感情移入し、応援したくなります。

そんな殺しの日々を送ってきた彼の前に、ある日女子大生のサンが現れます。いささか強引すぎるくらいに彼の元へ転がり込み、グイグイ距離を近づけてくるサン。最初は胡散臭がっていたナイツも、彼女との関わりを通して次第に彼女の存在が大きなものになっていきます。

だけど殺し屋の世界はいつだって残酷なもの。次第にサンの秘密や彼女の背景が明らかになってきて、物語は大きく動き出します。
ナイツの心情の動きを描き出す構成によく練られたストーリー、常に生死と隣り合わせの緊迫した攻防戦とカタルシスを得られる熱い展開。
10万字ちょっとという短い物語なのに内容は濃密で読了後の満足感がとても高いです。

優しく孤独な殺し屋の物語。一読の価値ありです!

★★★ Excellent!!!

意に沿わぬ殺しの依頼を受けてその手を汚す青年、ナイツ。
そんな彼に出会い、積極的に近付いていく女子学生、サン。

最初は邪険にしながらも、ナイツとサンの奇妙な交友が始まります。

二人の距離が徐々に縮まっていくのを見ているのが楽しく、ナイツ以外の様々な殺し屋との関わりも、物語の展開を期待させてくれます。
そして、異能が存在するこの世界で、二人は自らの望む未来を見つけ、引き寄せることができるのか。

語彙豊かに紡がれる、不器用な二人の物語。
彼らの行く末を、温かく見守ってみませんか?

★★★ Excellent!!!

殺す相手にさえ敬語を使う殺し屋、ナイツ。
本当は殺しに嫌気がさして、そのことが彼を悩ませています。
そんな彼の前に現れたのは、積極的な性格のヒロイン、サン。
この二人の交流を中心に描いた物語です。

ナイツから漂う哀愁とサンが放つ明るさが伝わる表現、そして情景伝わる文章が非常に巧みです。

サンとナイツ、光と影が重なる時、二人にどのような変化が起きるのか。
また彼らの身に起こる事件、そしてそれぞれが抱える秘密とは?

ハードボイルドな雰囲気漂う、ちょっと変わった世界観の異世界ファンタジー、けっこうオススメです。

★★★ Excellent!!!

殺し屋ナイツは、読書好きで穏やかな性格の青年です。常に敬語で話し、殺しのターゲットにさえ丁寧な物腰の彼は、望んで殺し屋になった訳ではありません。
そんなナイツはある日、暴漢に襲われていた女子学生のサンを助けます。二人の交友はここから始まるのです。


この作品では、心に暗いものを抱えた青年と、明るい女性(でも、もしかしたら訳アリ?)の交流が、日々の何気ない描写を交えつつ丁寧に描かれています。
やや強引気味なサンですが、少しずつナイツの心に寄り添って、互いになくてはならない存在になってゆく様子に、胸が温かくなります。

とはいえ、ナイツの職業は殺し屋。心の交流だけでなく、仕事を遂行するためには戦わなくてはなりません。異能を駆使した迫力満点の戦闘シーンは見ものですし、死を扱うため、胸に重く響くテーマ性のある物語も繰り広げられます。

また、ストーリー展開も巧みです。
ナイツにもサンにも、何やら事情があるようなのですが、ここぞというタイミングで少しずつ明らかになるので、スッと頭に入ってきました。

二人の交流の行く末には何があるのか?
ぜひ多くの方に見届けていただきたいです!

★★★ Excellent!!!

 夜の色素を凝縮したような黒髪と暗黒の瞳、端正な容姿に憂いの影を漂わせた読書好きの青年ナイツ。
 タイトルにあるように、彼は異能を用いて依頼をこなす殺し屋です。

 界隈ではそれなりに実績を持ち評価されている彼ですが、望んで人殺しを請け負っているわけではない……というのが、本作の大きな鍵となっています。なぜ彼が殺し屋になったのか、なぜ自己嫌悪と罪悪感に苦しみつつもその道を抜けられないのか。諦念を抱えつつも淡々と仕事をこなしていたナイツの心に、とある女性と関わっていくことで変化が生じてゆくのです。
 本作のヒロインであるサンは、一見すると明朗闊達、やや強引ですが憎めない無邪気な少女にも見えます。
 しかし、どうやら彼女は大変な秘密を胸に宿しているようで――?

 一風変わった異能が存在する世界で、悩み多き主人公と明るいヒロイン、個性的な殺し屋たちが関わり合い、生き延びるために戦っていく物語。ぜひご一読ください。

★★★ Excellent!!!

物語の主人公、ナイツ。彼は殺し屋でありながら、殺しを苦手としています。
そんな彼に対して、家に押し掛けるほど懐いた女性、サン。彼女がナイツの心を解きほぐします。

ぶっきらぼうで人付き合いが苦手ナイツと、明るく無邪気なサン。対象的な名前を持つ二人、(友愛でしょうか)互いの存在が大きな存在となっていく。その過程、心情描写が、温かく描かれております。

生きることの難しさ、儚さ。それが温かく、そして優しく描かれているお話だと思います。

★★★ Excellent!!!

主人公ナイツは殺し屋である。そしてナイツは真面目な人間である。依頼に真摯に向き合い、今日も粛々と殺しを行う。

ナイツは冷酷な人間ではない。人を殺めることに罪悪感を感じ、悩んでもいる。そんなナイツの元に一人の若い女性が現れる。一見何の曇りもなく、性格の明るい女性が。

殺し屋という仕事の傍ら、プライベートではその女性と親しくなっていく、そんなナイツにどんな心境の変化が訪れるのだろうか……?

死を扱うことは同時に生を扱うことでもある。人は何を目標に生き、何を幸せとするのか……殺し屋ナイツと一人の若き女性の物語を通じ、人類史上擦られまくってきてもなお明確な答えの出ないそんな命題に一時を共に浸ってみませんか?