物憂げな殺し屋と人懐こい女学生、絡み合う運命を描く異能系ファンタジー!

 夜の色素を凝縮したような黒髪と暗黒の瞳、端正な容姿に憂いの影を漂わせた読書好きの青年ナイツ。
 タイトルにあるように、彼は異能を用いて依頼をこなす殺し屋です。

 界隈ではそれなりに実績を持ち評価されている彼ですが、望んで人殺しを請け負っているわけではない……というのが、本作の大きな鍵となっています。なぜ彼が殺し屋になったのか、なぜ自己嫌悪と罪悪感に苦しみつつもその道を抜けられないのか。諦念を抱えつつも淡々と仕事をこなしていたナイツの心に、とある女性と関わっていくことで変化が生じてゆくのです。
 本作のヒロインであるサンは、一見すると明朗闊達、やや強引ですが憎めない無邪気な少女にも見えます。
 しかし、どうやら彼女は大変な秘密を胸に宿しているようで――?

 一風変わった異能が存在する世界で、悩み多き主人公と明るいヒロイン、個性的な殺し屋たちが関わり合い、生き延びるために戦っていく物語。ぜひご一読ください。

その他のおすすめレビュー

羽鳥(眞城白歌)さんの他のおすすめレビュー964