03-07-06 漢十 呂布

 三國志を彩る猛将、呂布りょふ。常人離れした膂力を誇り、董卓とうたくより寵愛を受けていた。しかし些細な過ちを犯したため董卓より戟を投げつけられていた。すんでのところで躱しこそしたものの、以降董卓のそばにいることを危ぶみ、王允おういんの立ち上げた董卓とうたく殺害謀議に参加した。

 董卓が自宅を発し、北掖門より宮殿入りする。王允らはそこで待ち伏せをし、遂に董卓を車から追い落とす。董卓は呂布に助けを求めたが、呂布は言う。

「詔が下った。逆臣を討つ」

 そして駆け寄り、手にした矛で董卓を刺殺。その後董卓残党によって長安が荒らされたため、呂布も長安を脱出した。


 呂布ははじめ袁術えんじゅつのもとに亡命、さらに袁紹えんしょうのもとに逃げ込むも、そこに曹操そうそう軍がやってきたためすぐさま脱出、下邳かひに駐屯する劉備りゅうびのもとに逃げ込んだ。到着するなり劉備を襲撃、下邳を奪い取る。

 劉備が曹操のもとに逃げ込むと、すぐさま曹操は劉備をはいに派遣した。


 曹操のもとには、呂布から派遣された使者「陳登ちんとう」がやってくる。用件は呂布を徐州じょしゅう牧に任命して欲しい、と言うものだ。曹操はその申し出を拒絶した。


 呂布のもとに帰還した陳登は言う。

「曹公に見えたところで、呂将軍を養うのは虎を養うがごときものだ、食い飽きるほど肉を食わせておかねば、いつ人を噛むとも限らぬ、と語ったのです。すると曹公は言うのです、それは違う、例えるならば鷹を飼うようなものだ、飢えているならば人になつくが、腹が満ちればひょうと飛び去ろう、と」


 呂布は再び劉備を攻撃。劉備も再び曹操のもとに逃げ込んだ。そして曹操が動くと何度かの戦いで呂布軍を撃破、ついには下邳に追い詰める。進退窮まった呂布が投降。すると曹操は呂布を縛りつけ、言う。

「虎を捕らえたのなら、グズグズもしておれん」


 そうして呂布をくびり殺したのである。曹操は劉備を伴って許に帰還した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る