02-09-04 蒙求 中2

綠珠墜樓りょくしゅついろう 文君當壚ぶんくんとうろ

 八王はちおうの乱まっただ中の西晋さいしん緑珠りょくじゅという美女がいた。八王のひとり司馬倫しばりんの参謀が緑珠を夫の石崇せきすうから強奪しようと目論んだため、彼女は楼閣の上から身を投げ、死んだ。間もなく夫も殺されている。

 前漢武帝ぶていの時代、卓文君たくぶんくんという女性が司馬相如しばしょうじょと駆け落ちした。この顛末に父親は怒り、彼女を勘当したのだが、これにより司馬相如との生活は貧困に陥る。そこで卓文君は居酒屋を開き自ら接客に当たったため、ついには父親も折れて家財道具を彼女のもとに送ったという。

 このひとのためにならば、と行動を起こす女性ふたり。



趙壹坎壈ちょういつかんらん 顏駟蹇剝がんしけんはく

 後漢の趙壹はずば抜けた才人でこそあったのだが、なにぶん激しく傲慢であった。もちろん時の名士の中には彼のすごさを実感するものも多かったのだが。そんな彼のすごさは役人の元にも届いたため、招聘の便りが幾度も届く。しかし趙壹、すべてはねのけ、貧乏暮らしの中で死んだ。

 前漢の武帝が役所に訪問したとき、かなり険阻な顔の老人が働いていた。聞けば文帝の時代から小役人としての働きのままであったという。その理由は顔が恐いから。武帝は彼をあわれみ、会稽太守に任じた。

 不遇の暮らしを甘んじるふたり。いや趙壹さんはやや隠者気味のような気もしないではありませんが。



蕭珠結綬しょうしゅけつじゅ 王貢彈冠おうこうたんかん

 前漢宣帝せんていの時代の王吉おうき貢禹こうう哀帝あいていの時代の蕭育しょういく朱博しゅはくはともに幼い頃から友人同士であった。彼らはそれぞれが同じほうを向き、お互いに推挙し合い立身を遂げたという。

 若き頃から助け合った友人二組。



暴勝持斧ぼうしょうじふ 張綱埋輪ちょうこうまいりん

 前漢武帝の治世、地方反乱があった。暴勝之は斧をぶん回して思いっきり地方反乱を駆逐した。

 後漢順帝の時代、張綱は中央で奸臣が跋扈する中地方風俗の視察に出向かされることになった。そこで巡察に当たって乗る車の車輪を洛陽に埋め「中央の虎狼をどうにかしなまま地方の狸狐を見てどうするのだ」と、奸臣たちの弾劾状を提出した。もちろん奸臣たちからは煙たがられて左遷させられた。

 強すぎるふたり。ひとりは武、ひとりは悪を憎む心。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る