02-09-05 蒙求 中3

魏勃埽門ぎぼつそうもん 潘岳望塵はんがくぼうじん

 魏勃は寒微の出であったがなんとか高官に取り入りたいと思い、前漢建立の大功臣である曹参そうしんの屋敷の門の前を清掃し続けた。そしてついに曹参と面会する機会を得、しかも取り立てられた。

 西晋の大文人にしてイケメン、潘岳。ただし宮仕えに際しては徹底的なおべっか使いであり、時の権勢者である賈謐かひつの車の真後ろにつき、車が立てる砂埃を喜んで浴びにいったという。

 おべっか使いのふたり。ちなみに魏勃は後に没落、潘岳は政争に巻き込まれ処刑されている。



馬安四至ばあんしし 應璩三入ようきょさんにゅう

 前漢の司馬安しばあん武帝ぶていの時代からその厳格な裁きなどから、実に四代の皇帝の治世にて九卿、つまり準トップの地位を確立していました。

 応璩おうきょは三国魏の時代、曹丕そうひ曹叡そうえい曹芳そうほうの三代にわたって侍中&散騎常侍、つまり皇帝のそばに侍って護衛や諮問を司る役にありました。つまり、やはりトップ高官です。

 長らくスーパーエリートの地位にあったふたり。



曼容自免まんようじめん 子平畢娶しへいひつしゅ

 前漢の邴丹へいたん、あざな曼容。哀帝の時代の清廉な儒者で、地方高官に取り立てられそうになったところを辞退、隠棲しました。その清廉さが後世に讃えられています。

 後漢の向長しょうちょう、あざな子平。光武帝頃の隠者で、あまりに貧乏だからと人より施しを受ければ、その不足分だけ受け取り、残りは返却したのだとか。そして子育てが終わった途端に山にふらりと山の中に消えていったのだそう。

 その慎ましき暮らしぶりを讃えられたふたり。



仲文照鏡ちゅうぶんしょうきょう 臨江折軸りんこうせつじく

 東晋末の名士、殷仲文いんちゅうぶん。彼は簒奪者桓玄かんげんに従いながらも裏切り劉裕りゅうゆうにつき、今度は重用されなかったからと劉裕にも謀反しようと企てます。しかし、あえなく失敗。処刑されました。その前日、彼の顔がなぜか鏡に映らなかったそうです。

 前漢は景帝けいていの息子、劉栄りゅうえい。はじめ太子とされましたが間もなく廃され、臨江りんこう王にされます。やがて無礼があったとして罪に問われ、自殺します。それに先立って景帝の召喚を受け、面会した帰り、車の車軸がぼきりと折れたそうです。

 謀反者、無礼者に示された、天罰の予兆。



德潤傭書とくじゅんようしょ 君平賣卜くんへいばいぼく

 三国呉のひと闞沢かんたく、あざな徳潤とくじゅん。かれは農民の家出身でしたが、学問が大好き。そこで筆写のアルバイトをして、会わせて自分の勉強としたのだそうです。

 前漢の占術者厳遵げんじゅん、あざな君平。彼は成都にて占術の商売を行い、人々に生きる道を説き続けたそうです。占術師はいやしい職業とされていましたが、しかし彼は誇りを持ってその仕事を貫きました。

 自分の進むべき道のために働き続けたふたり。

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