02-04-05 漢二 周亜夫

 前 158 年、匈奴きょうどが攻め入ってきた。文帝は周亜夫しゅうあふ劉礼りゅうれい徐厲じょれいに各地を守らせた。そして文帝自ら陣中見舞いをなす。劉礼や徐厲の元に赴いたときには大将以下が騎乗にて出迎えた。しかし周亜夫の守る陣地では立ち入ることすら許されない。

「陛下がお見えになったのだぞ!」

「軍中の最高責任者は将軍です、陛下ではございません」

 文帝はそこで周亜夫のもとに勅使の旗を持たせて開門させるように命じ、ようやく陣内に入ることができた。しかも陣内においては「陣内では馬を馳せさせぬようなさってください」と注意を受ける。言いつけ通りに徐行して周亜夫のいる宿営に向かう。慰問の挨拶を一通り交わして陣をあとにする文帝。付き従う群臣らは周亜夫の対応に驚いていたが、一方で文帝は言っている。

「ああ、将軍とはかくなるものか! 劉礼や徐厲の対応なぞ、子ども遊びに過ぎぬではないか!」


 文帝は死の床において景帝に戒めている。

「国家に大事が起こったときには、周亜夫こそを将に任じるのが良い」

 そのため呉楚ごそ七国討伐の乱が勃発した折、将に周亜夫が任じられ、三十六将を率いて乱の鎮圧に出向き、吳楚の軍を大破、乱を収束させた。


 周亜夫は後に宰相に任じられたが、諫言で景帝よりの不興を買い罷免された。更に景帝より告げられる。

「やつは裁きに不満があるようだな。朕の後継者にとって良き存在とはなるまい」

 そうして讒言を受け、獄につながれた。そこで吐血し、死んだ。

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