04-07-02 蒙求 東晋南朝分 上2

郭文游山かくぶんゆうさん 袁宏泊渚えんこうはくしょ

郭文(晋)&袁宏(世説)

 東晋初期の隠者、郭文。かれはかの王導よりの招聘をも断り、山野に遊ぶことを楽しみとした。

 東晋中期の文人、袁宏。かれは波止場でひとり歌っていたところを謝尚に見初められ、登用された。

 東晋を生きた、雅やかな生き方のふたり。


羅含吞鳥らがんどんちょう 江淹夢筆こうえんむひつ

羅含(晋)&江淹(南史)

 東晋の文人、彼は若い頃に鳥が口の中に飛び込んでくる夢を見、以降文章力が飛躍した。

 劉宋~梁の時代の文人、江淹。彼の晩年、夢の中に三人の詩人が相次いで現れ「預けていたものを返してもらいに来た」と何かを持ち去って言った。一つの夢を見るごと、江淹の文才は見る見る間に枯れていったという。

 夢にて文才を与えられ、奪われ。


李廞清貞りきんせいてい 劉驎高率りゅうりんこうそつ

李廞(世説)&劉驎之(世説)

 東晋初期の隠者、李廞。彼は士官の話が出てもその一切を断り、清貞なるを貫き通した。

 東晋末期の隠者、劉驎之。彼もまた士官のたぐいの話に一切耳を貸さず、桓沖が直々にスカウトにきてもすげなく断り切った。

 士官になぞ、誰が飛びつくか。


逸少傾寫いつしょうけいしゃ 平子絕倒へいしぜつとう

王羲之(世説)&衛玠(世説)

 書聖として知られる、東晋の王羲之。彼は無類の鳥好きで、隠者の飼っている鳥をもらい受けたいと申し出たところ老子道徳経の写しが欲しいと言われ、喜んで全文を書き写して渡した。

 西晋から東晋に亡命した貴族、衛玠えいかい彼が老荘について論じると、その精妙さに誰もがみな嘆息し、倒れ伏すのだった。

 老荘にまつわる絶技。ていうか王羲之先生……。

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