04-07-03 蒙求 東晋南朝分 中

戴逵破琴たいきはきん 謝敷應星しゃふようせい

戴逵(世説)&謝敷(晋)

 東晋後期の隠者、戴逵。かれは琴の達人であったが、東晋の王族から宮廷お抱えの音楽家になって欲しいと言われたため、「宮仕えがしたくて琴を修めていたわけではないのだ!」と、琴を破壊してしまった。

 あるとき隠者を象徴するという星に異変があり、有名な隠者と言うことでみな戴逵の身に何か異変が起こるのではないかと思っていたが、実際に死んだのは別所に住む高名な隠者、謝敷でしたとさ。

 めでたしめで……え?


阮放八雋げんほうはちしゅん 江泉四凶こうせんしきょう

兗州八伯(晋)&江泉(晋)

 東晋初期の名士、阮放。かれはその自由闊達な振る舞いから、郗鑒ちかん胡毋輔之こむほし卞壼べんこん蔡謨さいも阮孚げんふ劉綏りゅうすい羊曼ようまんと並べ讃えられており、兗州八伯と呼ばれた。

 一方、同時代にいたた江泉こうせん史疇しちゅう張嶷ちょうぎょう羊聃ようせんも四伯と呼ばれていた。こちらは最悪なやつ4選である。そこで「凶」と大げさに表現された。

 すごいひともやばいひともいる。


王敦傾室おうとんけいしつ 紀瞻出妓きせんしゅつぎ

王敦(世説)&紀瞻(世説)

 東晋初期に大きな存在感を示した、王敦。彼ははじめ多くの側妾を抱え込んでいたのだが、あるひとにそれを諫められたため、突然全員を屋敷から追い出した。

 東晋初期の名臣の一人、紀瞻の家にいる踊り子に、周顗がベタ惚れして連れ出そうとした。この振る舞いが罪に問われたと言うことなので、もしかしたら周顗によって連れ出されてしまったのかもしれない。ただ、周顗の才能が惜しいと言うことで、罪は不問となった。

 安定の女性の扱いの軽さ。


阮孚蠟屐げんふろうげき 祖約好財そやくこうざい

阮孚(晋)&祖約(晋)

 東晋の名士阮孚はゲタの収集を好み、集めたゲタにロウを塗って管理していた。祖約は金銭の収集に熱を上げていた。あるときどちらの収集癖がマシかという話になったのだが、客がきたときに阮孚はゲタを隠そうともせず、祖約は懸命に隠しきれないゼニを隠そうと躍起になったので、これは阮孚のほうがマシだろう、と言う話になった。

 収集癖は病ですよね。


王倹墜車おうけんついしゃ 褚淵落水ちょえんらくすい

王倹(南史)&褚淵(南史)

 南斉なんせいの高官の移動を見送りにでた褚淵が橋を渡ろうとしたら橋が壊れ、川に落ちた。それを見た王倹もまた驚きのあまり車から落下してしまった。

 二人は傾いた劉宋を南斉に売り、ともに新たな国で高官となっている。祖国を売ったふたりに、罰が当たったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る