03-03　はざまの皇帝たち

　章帝（しょうてい）、名は「劉烜（りゅうたん）」。母は「賈（か）氏」。「馬（ば）皇后」が育て、皇太子とされ、即位した。

　西域の国が再び反旗を翻し、都護を攻め落とした。北匈奴（きたきょうど）も耿恭（こうきょう）らを包囲した。章帝は兵を派遣するよう命じて救出し、都護や戊己校尉を廃止した。ただし班超（はんちょう）が西域を再び支配下に収めんとさらなる出兵を請うてきたため、章帝も許可した。勝算があると信じてのことである。

　北匈奴の五十八部が漢に降伏した。この時北匈奴は勢力が衰えており、仲間割れなども起こしていた。そこに南匈奴（みなみきょうど）よりの攻撃を受け、そこに丁零（ていれい）が挟み撃ちを掛け、更に鮮卑（せんぴ）がその側面を、西域の国が逆の側面を攻撃、と言う状態であり、自力での存立は難しくなっていた。このため単于（ぜんう）が逃亡を図ったのだが、鮮卑によって斬られた。生き延びた者たちが、漢に降伏してきたのである。

蒙求（もうぎゅう）：

馬后大練（ばこうだいれん）　孟光荆釵（もうこうけいさ）

　後漢明帝（めいてい）の皇后、馬氏。馬援（ばえん）の娘である。彼女はもともと皇后ではなかったのだが、別の妃が産んだ子、のちの章帝（しょうてい）を見事に育て上げて皇太子にふさわしい存在とし、その功績から皇后に選ばれた。

　後漢の士人梁鴻（りょうこう）の妻、孟光。彼女は色黒で力持ちだった。嫁ぐに際してがんばって着飾ったが梁鴻は相手にしない。理由を聞けばともに隠遁する相手を探しているからだ、と言う。そこで孟光、荊（いばら）の釵（かんざし）を刺し、質素ないでたちで改めて梁鴻のもとに。梁鴻は喜び、ともに山の中に消えていった。

　夫のために頑張った二人……としていいの、これ？