01-02 夏・殷

01-02-01 夏 禹

 「」の初代王、「」。


 姓は、名は文命ぶんめいこんの子にして、顓頊せんぎょくの子孫だ。

 鯀が治水事業に失敗したところを、しゅんによってその代任に充てられた。以降十三年間、ろくに家に戻ることもなく車に乗り、船を漕ぎ、泥濘の上はそりで進み、滑り止めスパイクで山を進み、九つの州を開拓、九つの道を通し、九つの澤を治め、九つの山を開拓した。これらの功績から、舜に後継者としての指名を受けた。

 王として規律正しい生活、政治を徹底した。人々を愛し、罪人が罰を受けることに涙したりもする。

 発酵技術は禹の時代以前にもあったのだが、「儀狄ぎてき」が酒を開発。禹はこれを飲んで感激するのだが、一方で「後の世には酒で国を滅ぼすものも現れるのだろう」と語り、儀狄を疎んじた。

 やがて船に乗って長江を渡る。そのとき、黃色い龍が船を背負った。船人は恐れおののく中、禹は落ち着き払って、言う。「天命に従い、万民を労ってきた。生とは所詮かりそめ、死こそが期すべき先よ」やがて龍が去ると上陸し、「会稽かいけい」の地に赴き、そこで死んだ。



蒙求もうぎゅう

杜康造酒とこうぞうしゅ 蒼頡制字そうけつせいじ

 儀狄と杜康は、共にどちらも「酒を造った神」とされている。どっちやねん。どうせ異名なんじゃねーのと思ってみても、この二つを同じ神とする説も見かけない。まーせっかくだからここで紹介しておきます。

 文字の考案者たる蒼頡は黄帝こうていの臣下と言うことになっているらしい。うーむ、なら十八史略で名前が挙がっても不思議じゃない気もするんですけどねえ。

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