01-16-13 蒙求 下5

邾子投火ちゅしとうか 王思怒蠅おうしどよう

邾子(左伝)&王思(魏略)

 左伝定公三年、邾の荘公は邸内で門衛が瓶の水を流しているのを見て切れた。門衛が「ここで小便したやつがいたので、流しているのです」というとそれにも切れた。怒りのあまりベッドから飛び降りようとしたところ誤って火をくべる釜の中に落ちた。そのやけどが元で死んだ。

 王思は三国魏の時代の人。能吏だがすぐかっとする性格だった。ハエが筆の端に止まる。追い払う。また止まる。激怒。立ち上がって追い払う。逃げていかない。激怒。ついに筆を地面に叩きつけて踏み折った。

 激怒の度が外れるひと。うーん、ここに東晋の王述も加えたいですね。彼の怒りぶりも度を超してて好き。

 

符朗皁白ふろうそうはく 易牙淄澠えきがしじょう

苻朗(晋)&易牙(列子)

 苻朗は前秦の宗族で、淝水の戦い直前に東晋に投降している。異常に味覚が鋭く、ガチョウを食べさせてみたところ、「この肉は白い羽の下、この肉は黒い羽の下にありましたね」とか言い出した。どうやって調べたかわからないが合っていたらしい。

 斉の士大夫易牙もまた異常な味覚の持ち主。淄水と澠水の水を、舐めることによって判別したという。

 ここには西晋の荀勖を混ぜてみたいですね。彼も「この粥を炊いた薪はちょっと痛んでますね」とか意味不明なことを抜かしています。合ってたらしいよ。


宋女愈謹そうじょゆきん 敬姜猶績けいきょうゆうせき

宋女(列女伝)&季敬姜(列女伝)

 春秋宋の女性が鮑蘇のもとに嫁き、姑に恭しく仕えた。その後鮑蘇が衛に外勤となり三年、外勤先で現地妻を娶ってしまう。周囲の人々は離縁しても良いのではと勧めるが、その後も姑に恭しく仕えた。その態度はのちに荘公の耳に入り、彼女のような者こそ女の宗たるべき、と讃えられた。

 春秋魯の季敬姜は公父文伯の母である。そう、客人に小さなスッポンのスープを出すことで客を怒らせてしまった、あの。さて公父文伯が母の元に挨拶に出向くと、彼女は機織りの手を止めることなきまま挨拶を聞き入れた。おかん、いくら何でもそれはないんとちゃいますのん? 公父文伯がそう言うと、おかん殿、ため息をついて言う。「魯の国は、このままでは滅びるわね。(盛大なる長広舌によるフルボッコ)……聖王が民のための政治をなす、そして民は機を織る。それができなければ国は回らない。古から言われていることだというのに」。

 二人の偉大なる母。それにしても公父文伯さん、どこでもお母様にフルボッコにされててかわいそう……(爆笑しながら)。

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