01-16-12 蒙求 下4

伯成辭耕はくせいじこう 嚴陵去釣げんりょうきょちょう

伯成(荘子)&嚴光げんこう(後漢)

 ぎょうの時代に伯成は諸侯となった。やがて王の座がしゅんを経てに引き継がれた頃、諸侯の座を辞し、晴耕雨読の生活を送るようにした。

 厳光は光武帝こうぶていの幼なじみ。マブダチ、とすら言っていい。しかし光武帝が天下の主となると彼の元を辞去し、日々釣りを楽しむ生活を送った。

 天子に近い立場におりながらにして栄達を嫌い、世を遁じた隠者ふたり。


不占隕車ふせんいんしゃ 子雲投閣しうんとうかく

陳不占(韓詩外伝)&揚雄ようゆう(前漢)

 せい荘公そうこうが臣下に殺され、城内は大混乱! 陳不占は恐怖で全身ガタガタ震えながらも、君主の一大事に駆けつけなくてどうする! と車に乗り込んだ。しかし恐怖のあまり車の中で死んだ。えっ。

 揚雄、あざなが子雲。前漢の大学者である。王莽おうもうと同僚的な立場であったが、かんより簒奪せんとする姿勢に断固として反対。そのため収監されそうになった。のがれられないと悟った揚雄は窓から身を投げて自殺を図る。重傷こそ負うも失敗。

 片や忠義のため死地に赴かんとして死ぬ、片や死地から逃れようとしておめおめと生きながらえる。なんとも対照的な死に様と生き様。


魏舒堂堂ぎじょどうどう 周舍諤諤しゅうしゃがくがく

魏舒(晋)&周舍(史記)

 魏舒は魏末晋初を生き抜いた大臣。素朴な性格をしていたが、よく人材を推挙した。不才を理由に辞職を申し出ても、司馬昭より「そなたのその堂々たる振る舞い、まさに人々の領袖たるに相応しい」と賞賛を受けている。

 しんに仕えた趙簡子ちょうかんしの配下のひとり、それが周舍だ。彼は直言を好み、それによって簡子は常に彼を煙たがっていた。しかしその死後には「彼の諤諤たる直言がなくなり、配下は唯々諾々とするのみだ。このままでは危うい」と語ったという。

 人主に仕える有能な配下、それぞれのありよう。


無鹽如漆むえんじょしつ 姑射若冰こしゃじゃくひょう

鍾離春しょうりしゅん(列女伝)&姑射(荘子)

 せいの無塩に住む鍾離春はとんでもない醜女として有名だった。中でもその肌は漆のごとく黒ずんでいたという。四十になっても嫁の行き先もないといったありさまで、ついに宣王の元に出向いて掃除女として使ってくださいと申し出る。ところが宣王、彼女と話してみたところ、たちまち斉の危うい現況を言い当ててみせる。彼女の助言通りにしたところ国は安定し、そのため宣王は彼女を正妃につけるのだった。

 姑射山には神人がいて、その肌は氷のごとくであり、様々な奇跡を起こしたのだという。

 色が黒かろうが薄かろうがすげえもんはすげえ、という感じでしょうかね。

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