02-09 蒙求 二巻該当時代分

02-09-01 蒙求 上1

葛豊刺挙かつほうしきょ 息躬歴詆そくきゅうれきてい

 前漢の諸葛豊しょかつほうの剛直さは凄まじく、どんな立場の人間であっても弾劾すべきものは弾劾した。このため元帝げんていの時代、しばらく会わなかった相手には「諸葛豊殿にぶち込まれでもしていたのかね?」とジョークが交わされたという。

 前漢哀帝あいていの時代の人、息夫躬そくふきゅう。その実直さを買われ哀帝に抜擢された途端、当時宮廷で権勢を誇った人間をみんな言論でぶった切った。もちろんそんなんだから恨まれて投獄され、そこで憤死した。

 権勢なにするものぞ、剛直なふたり。



檀卿沐猴だんけいもっこう 謝尚鴝鵒しゃしょうくこう

 前漢宣帝せんていの時代、蓋寛饒がいかんぎょうがいやいやながら参列した宴で、檀長卿だんちょうけいが犬と猿が戦う真似をした踊りを披露し、みんなは大喝采。いっぽう蓋寛饒が下品なものを見させられたとぶち切れた。

 東晋とうしんの時代、陳郡ちんぐん謝氏しゃし躍進のきっかけを作った人士、謝尚しゃしょう。時の大宰相王導おうとうの紹介で参列した宴にて、彼もまた見事な鳥たちの姿を模した踊りを披露した。

 見事な動物の舞を披露したふたり。ついでに言えば片や蓋寛饒がぶち切れ、片や王導を中心に喝采するという、「時代が悪く傾いている」ニュアンスも混じっています。


枚乘蒲輪ばいじょうぶりん 鄭均白衣ていきんはくい

枚乘(前漢)&鄭均(後漢)

 呉楚七国ごそしちこくの乱直前の呉にて、枚乘ばいじょうは懸命に呉王の決起を止めようとするも叶わずりょうに脱出。乱鎮圧に尽力した。その功績をたたえられ中央に召し出されるも栄達を嫌い梁に帰還。賦をものする日々を送る。やがてその高名を慕った武帝ぶていより招聘、蒲輪という揺れの小さな車にて召喚されたのだが、都に向かう途中で死亡した。

 後漢の章帝しょうていの時代、鄭均ていきんの兄がワイロに汚い役人生活を送っていた。それを諫めるため鄭均は自ら使用人に身をやつして金を稼ぎ、一年後に兄の元へ持っていく。そして金は稼げば確保できるがワイロによって名を損ねると二度とは戻らない、とさとし、これに感心した兄はついにワイロの受け取りをやめる。以後鄭均と兄は清廉な勤務を貫き通し、章帝より引退後も現役時と同じだけの俸給を与えると特例措置を受けた。

 その忠直な働きを認められたふたり。

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