03-01-03 漢六 光武帝劉秀 3

 昆陽こんようの戦い以降、劉縯りゅうえん劉秀りゅうしゅう兄弟の名は日増しに盛んとなった。このため更始帝こうしていは劉縯を殺害。劉秀は敢えて喪に服さず、盛大に飲食し、宴会では笑った。ただし寝床では涙に暮れた。更始帝は恥じ入り、劉秀を大将軍とし、武信ぶしん侯に封じた。そして劉秀に大司馬の職務を代行させ、河北かほくに向かわせた。劉秀は行く先々で王莽おうもうの苛政の痕跡を改めさせた。

 南陽なんよう人、すなわち劉秀と同郷人の「鄧禹とうう」が杖をつきつき劉秀を追い、ぎょうにてようやく追いつく。すると劉秀が言う。

「なんだ、なにか官職が欲しくなったのかい?」

「いや、あなたの天下平定のサポートをし、ついでにそのおこぼれに与りに来ました。それで名を歴史に刻んで見せようと。更始帝は、あなた様に比べて凡才。天下を治める器ではありません。ならばあなた様に天下の英雄を手懐け、民を喜ばせ、劉邦様のお為し遂げになった事業を復活され、多くの民の命をお救いなさいませ。さすれば自ずと天下はあなた様のものだ」

 劉秀はこれに喜び、自らの幕営に招き入れ、どのように天下を手中に収めるかの議論を交わした。


 邯鄲かんたんの占い師である「王郞おうろう」が成帝の子の子輿しよであると自称、邯鄲にて帝位僭称をなす。幽州ゆうしゅう冀州きしゅうの民が王朗のもとに帰順した。

 この頃劉秀は幽州のしうから盧奴ろどに向かっていた。そこに「耿況こうきょう」の子の「耿弇こうえん」が駆けつけ、劉秀に面会する。劉秀は喜んで言う。

「ぼくの北地行きを導く人に出会えたぞ!」

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