01-16-03 蒙求 上3

公超霧市こうちょうむし 魯般雲梯ろはんうんてい

張楷(後漢)&公輸こうゆ墨子ぼくし

 張楷はめっちゃすごい学者で、その学識を慕って門弟があふれたのだが、どうにかそれから逃れようとした。なお五里を霧の中に沈めるという謎の方術を習得していたという。

 公諭は優れた大工で、多くの攻城兵器を手がけた。中でもはしご車は見事なものであったという。もっともはしご車による攻撃は、墨子によってことごとく退けられるのだが。

 当時の水準からして超常的な技術を開発していたふたり、となるのだろうか。


淵客泣珠えんきゃくきゅうしゅ 交甫解佩こうほかいはい

鮫人(述異記)&鄭交甫(列仙伝)

 しん代の文人、左思さしがものした呉都賦ごとふには「海側にいた半人半魚が涙をこぼすと、それが宝玉になった」とする伝説が残っている。

 漢水かんすいに住まう女神、その娘ふたりは見事な宝玉を身に帯びていた。それを欲しいと思った文人の鄭交甫ていこうほは歌を捧げ、彼女らから宝玉を貰ったのだが、手元に収めると、たちまち宝玉も、仙女たちも消えていたという。

 伝説に残る宝玉たちのお話。


紀昌貫蝨きしょうかんしつ 養由號猨ようゆうごうえん

紀昌(列子)&養由基(淮南子)

 紀昌の放つ弓はシラミを狙って射貫いたという。

 王がある猿に向けて矢を射たところ、猿は難なくその矢をキャッチ。ぐぬうとなった楚王、弓の達人である養由基ようゆうきに射かけさせようとした。それでは、と養由基が矢の曲がり具合を調べ始めると、それだけでもう猿は木陰に隠れて号泣したという。

 途轍もない弓術の持ち主ふたり。


蘇韶鬼靈そしょうきれい 盧充幽婚ろじゅうゆうこん

蘇韶(三十国春秋)&盧充(孔子志怪)

 蘇韶は死後いとこの蘇節そせつの前に霊として姿を現し「死者も君たちと同じくこの地で暮らしているよ、実体があるかないかの違いでしかないんだ」と気さくそうに語り、姿を消したという。

 盧充はかん代の人。狩りの途中に迷い込んだ官舎でひとりの女性にめあわされた。オセッセセを楽しんで、三日後に官舎を去ることに。「彼女は妊娠した。息子だったら君の元に返そう」と別れ際に言われ、果たして三年後、母の形見とともに盧充のもとに息子がやって来る。後日母の姉妹という人に話を聞けば、盧充にめあわされたタイミングではとうに死んでいたはずなのだが、とのことだった。

 死者の霊と現世の人との交わり。やべえピックアップしたはいいけどふつうに二人ともあとの時代の人だった。まぁいいや、あんま趨勢に関わらないし。

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