01-16-07 蒙求 中4

漂母進食ひょうぼしんしょく 孫鍾設瓜そんしょうせつか

韓信(史記)&孫鍾(幽冥録)

 韓信は貧乏もので、日々の食事もろくに取れないありさまだった。それを憐れんだわた洗いの婦人に食事を恵んでもらった。そして漢の誇る大将軍として立身した韓信、彼女に厚く酬いたという。

 孫鐘は呉の孫堅の父である。貧乏暮らしをしていた中で瓜を何とか収穫できたのだが、折悪しく、そこに三人の客。しかも瓜が食べたい、と言う。孫鐘、自らの思いは殺し、彼らに食事、そして瓜を与えた。そうしたら、その三人は実は運命を司る神であった! 後日の息子以下については、あえて語るまでもないだろう。

 食に酬いる人たちの話。しかしどっちも後日のお話でしたね。


壺公謫天ここうたくてん 薊訓歷家けいくんれきか

費長房(後漢)&薊子訓(神仙伝)

 壺公ここうと言う仙人は天でやらかしを決め、地上に落とされていた。地上では慎ましい老人の振りをしていたが、壺の中に大邸宅を構え、そこで悠々と暮らしていた。あるときそれを費長房に見とがめられ、仕方がないので彼を壺の中に招待。そこでとんでもない贅沢暮らしをさせたのだそうな。「天から落とされたこと」そのものが罰、と言うことだろうか。

 薊子訓そしくんは数百年経っても老いることがなかった。あるとき政府の要人の家二十三ヶ所に招かれたのだが、すべての家に、同時に、同じ格好で、訪問したのだという。

 仙人こわい。


虞延剋期ぐえんこくき 盛吉垂泣せいきつすいきゅう

虞延(後漢)&盛吉(会稽典録)

 王莽の時代に世が乱れたとき、虞延は常に甲冑を身をまとい、人々を守るため戦った。また地方長官としても徳ある統治を心掛け、ある祭日、獄につながれている囚人に「この日までに返ってくるように」と伝えて解放したところ、囚人はみな期日通りに帰還してきたという。

 盛吉もまた仁徳ある統治をなしていた。とは言え罪人は裁かねばならない。処刑執行の決裁をなすたび涙し、悲嘆に暮れたという。

 受刑者にすら慈愛を注ぐ役人ふたり。


初平起石しょへいきせき 左慈擲杯さじてきはい

黄初平(神仙伝)&左慈(神仙伝)

 黄初平はあるとき謎の神霊力を得て羊数万頭を獲得した。ただし普段その羊たちは、何故か白い石にしか見えなかった。四十年あまり山間に潜み、人跡を断っていたという。

 左慈は漢末の人物。道術に長け、曹操に引見された。その手腕を習いたいと曹操に乞われるも断り、怒った曹操に毒酒を差し向けられた。左慈はそれを平然と飲みきった上で杯を屋根のほうに投擲。そちらにみな目が奪われた瞬間には、その姿をくらましていた。

 何やらよくわからん超常能力を持っているふたり。


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