02-03-14 漢一 韓信 3

 魏の「魏豹ぎひょう」が謀反を起こすと、韓信かんしんが討伐に出る。魏豹は迎撃の軍を出したものの、韓信は迎撃軍より身を隠し、別口のルートから魏の都を直接攻撃。魏豹を捕らえた。

 ここで韓信は劉邦りゅうほうに更に三万の兵をよこすよう要請。えんちょうせいを征伐したのちに南下しの補給路を断ち、その後に劉邦に合流したい、と語る。そこで劉邦は副官として「張耳ちょうじ」をつけ、韓信の要請を受諾した。


 韓信と張耳が趙を攻撃。井陘口せいけいこうに兵を集結させようとする。趙歇ちょうけつと「陳余ちんよ」がこれをどう防ぐか協議したとき「季左車りさしゃ」が言う。

「井陘口に至るまでの道は車二台分が並ぶほどでしかありません。ならば兵糧はどうしても遅れて到着します。そこで私が騎兵を率い兵糧を奪いましょう。王は城に立てこもり、相手の攻めに応じないようにしてください。そうすれば疲弊し、食料を失った両将の首を旗の下に掛けることが叶いましょう」

 しかし陳余はこの立案を却下した。自分は儒者であり、義兵を率いている、ならば堂々と戦うべきである、と。

 韓信は陳余が李左車の立案を却下と聞いて大いに喜び、井陘口近くにまで進軍。

 ここで二千からなる別働隊を編む。彼らには赤い旗を持たせ、趙軍がこちらを追撃しようとするときには城を空けるであろうから、その隙に乗じて城を乗っ取るように、と伝えた上で夜半に出発させた。

 そして韓信は、更に一万を分けて川を背に布陣させ、それ以外の兵を率いてあえて堂々と軍を繰り出す。趙軍は韓信軍をひとひねりにせん、と軍を繰り出し、激突。韓信はしばらく戦ったところで偽装撤退を行う。趙軍は全軍を挙げて追撃。川を背にした韓信軍は死に物狂いで戦ったため趙軍も易々とは攻めきれずにいた。

 そうこうしているうちに、夜に放った別働隊が空になった趙の城を強襲、占拠した。趙軍が攻撃に疲れたところで城を見れば、何故か城が陥落している。この事態に趙軍は大混乱に陥った。その隙を城の占拠隊と韓信軍とで挟撃、大いに打ち破る。陳余は殺害、趙歇は捕獲。


 この戦果を諸将が祝い、また問う。

「兵法では右に山を、前や左に水澤を、が定石のはず。今回、水を背にしたというのに、どうして勝てたのでしょうか?」

「兵法には載っていなかったか? 絶対的な境地に陥ったものは、奮戦するため却って生き延びる、と」

 この答えに諸将は感服した。

 韓信は李左車を探し求め捕縛、自らの前に引き連れさせる。そして縄を解き、教えを請いたい、と願い出た。その後李左車の策を用いることで、燕の地は瞬く間に降伏した。

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