04-04-03 晋四 苻堅 上

 華北を統一に導いた、苻堅ふけん。主の苻生ふせいを殺し、秦天王しんてんおうを自称した。

 苻堅は王猛おうもうの紹介を受け、面会。二人はひと目会うなり旧知であったかのような感覚を得た。王猛は苻堅の下で善政を布き、前秦の国民を大いに喜ばせた。また慕容垂ぼようすいの亡命を受け、王猛は燕の討伐に向かい、ついに慕容暐ぼよういを捕縛。燕を滅ぼし、凱旋した。


 しかし、間もなくして王猛おうもうが死亡した。苻堅ふけんは慟哭して言う。

「天は吾に六合をひとつに平らげんとお望みではなかったのか、なぜ吾が景略けいりゃくをこうも早くに奪うのだ!」

 王猛は死の床にて苻堅に告げていた。

「晋は江南こうなんの僻地に拠点を置いているとは言え、正統を引き継ぎ、上下はよく連携しております。臣の没したる後、願わくば晋討伐を図ることございませぬよう。鮮卑せんぴきょうは我らの仇敵なれば、遂には陛下の患いとなりましょう。徐々に切り捨てゆき、お国を安んぜられませ」


 りょうを降伏させた。

 もともと王位にあった張玄靚ちょうげんせいは、叔父の張天錫ちょうてんしゃくに殺されていた。張天錫は酒と女に溺れ、政を乱していた。このため秦が討伐に出向き、姑臧こぞうにまで進んだのである。張天錫は顔を布で縛って秦軍の前に現れた。その身柄は長安に送られた。

 代王だいおう拓跋什翼犍たくばつじゅうよくけんの死に乗じ、代を滅ぼし、ついに華北を統一した。


 前秦は兵を分け、各地から東晋とうしんの攻撃にかかり、諸郡を陥落させた。中でも襄陽じょうようでは守将の「朱序しゅじょ」を捕らえ帰還した。

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